マクロン大統領が抱える「深刻な3つの問題」 フランス大統領選挙の世界史的な意義
周知のとおり、2回投票制のフランス大統領選では、初回でいずれかの候補が過半に達しなければ上位2位が決選投票に臨む。第1回目では、11人が立候補し、22.23%が棄権する中、上記のマクロン、ルペンがそれぞれ865万6346票(24.01%)、767万8491票(21.30%)で勝ち残った一方、2大政党の候補であるフランソワ・フィヨン(共和派)とブノワ・アモン(社会党)が、20.01%と6.36%でどちらも決戦に進めず、急進左派のジャン=リュック・メランションが19.58%と躍進した。
2017年大統領選の「3つの特徴」とは?
今回の選挙の特徴は、まず第1に、2大政党の没落が著しいことである。1965年の第1回投票では、左右両派の政党候補を併せて第1回投票で76.4%を占めていたのに対し、いまや合計27.7%にまで落ち込んだ。右派フィヨン候補が金銭スキャンダルに見舞われ、支持が落ち込んだという事情はあるにせよ、これは、2016年4月にオーストリアで行われた第1回大統領選で、戦後政治の骨格を担ってきた2大穏健政党が合計して20%ほどしか得票できなかったのに匹敵する、驚くべきことである。
第2に、棄権や白票が多かった。大統領権限が飛躍的に強化された第5共和制の下では、現在の方法で10回の大統領選が実施されているが、第1回投票を見ると、史上3番目に高い22%ほどの有権者が棄権し、投票者中1.8%ほどが白紙を投じた。さらに決選投票では、25.44%が棄権、8.51%が白紙で投票した。
これらが示すのは、フランスの有権者がもつ不満である。それは、候補者、既存政党、あるいは選挙そのものに対してなど、さまざまな形をとるだろう。また、投票しても変わらないという無力感、投票したい人がいないといった否定的感情があると思われる。
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