日本人の多くが考えていない有事の資産防衛 北朝鮮危機で起こる最悪事態を想定してみる
やはり戦争中は「現金」がいちばんということになるのか……。
あるいは、紙幣すら信用がなくなって、最終的には貴金属になる可能性もある。そう考えると、現金だけではちょっと不安かもしれない。
内戦状態のシリアのケースを見てもわかるように、戦争は市民生活に壊滅的なダメージを与える。日常生活に不可欠なものが役に立たなくなる可能性があることを覚悟すべきだ。
ちなみに、金融庁はこの4月に発表した「金融商品取引業者向けの総合的な監督指針」の中で「自然災害」や「テロ・戦争」への危機管理マニュアルを策定するように明記しているが、どの程度まで各金融機関が対応しているのか、はっきりした内容はわからない。
たとえば、りそなホールディングスは自然災害などの非常時に際して「東西相互バックアップ」体制を整備しており、グループ各社の本社、システムセンターを首都圏と近畿圏に分散設置している。金融機関の中には、首都圏だけに分散しているケースもあり、気になる人は確認しておくといいかもしれない。
戦争後の「預金封鎖」や「超インフレ」に警戒?
一方、メディアなどで盛んに報道されているのが、戦争への備えというのではなく「戦後への備え」だ。自分の資産をどう守ればいいのか。北朝鮮と米韓との戦いを考えたときに、敗戦は考えられないが無傷での勝利はありえないだろう。日本も無傷では済まないはずだ。
戦後の混乱による物価上昇、社会保障制度の停止や停滞、防衛費の増大による財政逼迫などなど、あらゆる影響が出て来る。その結果、有事の際の資産防衛法としては、インフレによる資産の目減りを恐れて「米ドル投資」や「金の現物購入」を進める方法が指摘されている。
実際に、戦争状態に突入した時に、米ドルは買われるだろうが、同時に円も買われるケースを考えるべきだ。いったんは円安になるが、東日本大震災のように世界中に投資されていた日本のマネーが還流されるのではないか、という思惑から円が買われて円高になった。
金価格は徐々に値を上げているが、円高になれば日本国内での価格は下落する。金も一本調子で上がるとは考えにくい。
そもそも、金はなぜ有事に強いのか。持ち運びに便利なために、宝石類や金、プラチナなど貴金属全般が有事=戦争には強いと思われがちだ。難民となって逃げ惑う場合、不安定な紙幣よりも機能的に便利だという考えがあった。
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