トランプ支持者はオバマをなぜ「憎悪する」か ネットの「オバマ陰謀論」を本気で信じている
投票権を持つ白人保守層の約3分の1が、バラク・オバマ前大統領はイスラム教徒だと信じている。ある調査では、保守層の32%が、オバマは外国生まれだと回答し、19%は、どこで生まれたかわからないと答えた。つまり、白人保守層の過半数が、オバマがアメリカ人であることすら疑っているのである。
実際に私は、知人や遠い親類が、オバマについて、イスラム原理主義者とつながっているとか、裏切り者の売国奴であるとか、遠く離れた世界の端で生まれたなどと語るのを、たびたび耳にした。
黒人オバマと白人労働者の境遇は、天と地ほど違う
ただ、“アメリカ人と認められていない”オバマと私が大人になるまでに接してきた白人労働者階級“ヒルビリー”たちとを比べると、そこには天と地ほどの差がある。
オバマのニュートラルでなまりのない美しいアクセントは聞き慣れないもので、完璧すぎる学歴は、恐怖すら感じさせる。大都会のシカゴに住み、現代のアメリカにおける能力主義は、自分のためにあるという自信を基に、立身出世を果たしてきた。もちろん、オバマの人生にも、私たちと同じような逆境は存在し、それを自ら乗り越えてきたのだろう。しかしそれは、私たちが彼を知るはるか前の話だ。
オバマ大統領が現れたのは、私が育った地域の住民の多くが、アメリカの能力主義は自分たちのためにあるのではないと思い始めた頃だった。自分たちの生活がうまくいっていないことには誰もが気づいていた。死因が伏せられた10代の若者の死亡記事が、連日、新聞に掲載され(要するに薬物の過剰摂取が原因だった)、自分の娘は、無一文の怠け者と時間を無駄に過ごしている。
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