高島屋「新免税店」が爆買い減でも強気の理由 ブランド物よりもコスメ・家電を目玉に

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訪日客数自体は増え続けているため、全体の消費が再び盛り上がっている。ただ、客単価は下落が続いている。購入する商品の内訳が大きく変化しているためだ。たとえば、高島屋で購入された2016年度の免税品内訳は、化粧品など単価の比較的低い消耗品が前期比2倍になった一方で、高級ブランド品など一般物品は同8%減に終わった。需要は日用品へと大きく動いた。

実は高島屋免税店は、こうしたニーズの変化に合わせて当初の計画から大きな軌道修正を行った。全日空商事や韓国のホテル新羅との合弁会社「A&S高島屋デューティーフリー」の設立を発表したのが昨年3月。当時はまだ「爆買いバブル」が続いていた。

ラグジュアリーブランドの高級品を中心とした商品構成で初年度売上高として150億円を見込んでいた。その後、円高の進行や中国での関税規制強化などによって、高額品が買いあさられたバブルはあっさり終焉。高額品の需要が一気に減少した。

高島屋は「脱高額品」を目指した

高島屋免税店は化粧品売り場が多くを占める(記者撮影)

だが今回開業した実際の店舗では高級ブランドの出店を限りなく抑え、化粧品類(コスメ)の売り場を主力に据えた。売り場面積のうち4割をコスメが占めており、中国人から人気の高い日本ブランドを中心に36ブランドを誘致した。

さらに、消費税のみ免税のタックスフリーの売り場も、コスメと同じく面積の4割ほどを占めている。デューティーフリー商品だけでなく、その場で持ち帰ることのできる商品も購入したいというニーズが増えているためだ。ここにはドラッグストアの「マツモトキヨシ」や家電の「ラオックス」も出店した。客単価は下がるため、初年度売上高の計画を80億円へと引き下げた。

肝心の集客については頼もしいパートナーを迎えた。免税店の合弁パートナーである、ホテル新羅だ。韓国を地盤とし、新羅免税店を展開する同社は中国人旅行客の取り込みにノウハウを持つ。ホテル新羅が提携する中国の旅行会社など50社から、団体客を新宿高島屋に誘導する方針だ。1日に観光バス30台、合計1000人規模の団体客を確保できる見通しだという。

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