小泉進次郎氏が「こども保険」を強く推す理由 教育無償化はどのように実現するべきか

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――日本銀行の大規模な国債購入の下、消費増税が2度も先送りされ、永田町の財政規律は確実に緩んでいます。「教育国債は阻止する」くらいの心構えで戦いますか。

小泉:教育無償化に向けた恒久財源を考える特命チームが党内にあって、私たちも入っている。そのメンバーの中には高等教育を国債でやるべきだと言っている方も入っている。特命チームの馳浩座長は「これから教育国債、こども保険、税などの財源や無償化の対象についてメリット・デメリットを含めた星取表をつくる」と話している。

――星取表をつくるということは、脱落するものも出てくるという意味ですか。

小泉:まだその星取表を見ていないから(笑)。それがどんなイメージなのかはぜひ馳座長に取材してほしい。ここが、最後の取りまとめに向けて1つの土台になるだろう。

「消費増税から逃げるな」と書くなら新聞も負担を

――小泉さんたちの昨年の提言では、公的年金制度改革にも触れており、社会保険が制度設計での1つのポイントです。

小泉:年金では、支給開始年齢の引き上げというより、自分で受給開始年齢を選択できるようにすると提言している。

――受給開始年齢自由選択制ですね。

小泉:そうです。

――日本の公的年金制度では、65歳から70歳に繰り下げて受給すれば年金額が1.42倍に増えます。個々人が元気に働ける期間を延ばして、年金額を増やす繰り下げ受給を推奨しているのですから、一部のマスコミが主張しているような「年金財政が厳しいから、支給開始年齢を引き上げろ」というのとは違いますね。

小泉:今の制度では繰り下げ受給は70歳までだが、それをさらに延ばし、在職老齢年金も廃止して、高齢で働くことが不利にならない社会を作ると言っている。人生100年時代で20年学んで40年働いて40年老後というのはありえないから、対応できる環境を作る必要がある。

もう1つ言わせてほしい。最近もある新聞が書いていたが、10%以上の消費税から逃げるなという議論がある。新聞社のみなさんにぜひ聞いてみたいのは、消費増税賛成で10%以上の議論をしろという新聞は、増税されても軽減税率適用だから負担は増えない、本当にそれは責任のある訴えなのですかと。消費増税を議論しろというなら、私たちには軽減税率を適用しなくてもいい、というのがスジの通った意見だ。自分たちは負担が増えない、だから負担増賛成だというのは、ユニークな主張だ。

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