政治アカウントのフォローは就活に不利?! 都議選候補予定者「そりゃ政治離れするよ」

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――組織力がない候補者を知ってもらうにはネットがあっても難しい。

リアルで簡単なのは、選挙前に選挙公報を投票券と同封して送るということでしょう。このくらいのことをしなければ、そもそも候補者が誰なのかさえ、投票前に知ってもらえていないと思います。

現在の選挙制度でネットツールを使っても、政治アカウントが忌避されるなら、無名の候補者そのものを知ってもらうのはかなり難しくなってしまいます。すると、宣伝能力の高い組織を持つ方には敵わないのではないでしょうか。

だから、未だにタレント候補を挙げようなどという政党がありますし、現職都議の多くがテレビ局のディレクターなどを紹介してくれ、とテレビ番組に出演を熱望するのだと思います。

きっと、ネットによる選挙参加そのものの熱がさめてきたことと、加えて、社会的閉鎖性のある日本の中で、公開されているネットの世界は、自己保身のために匿名で特定されない自由発言空間でなければならないのでしょう。そこへは、自己の責任を持って実名で入ってくる者は、社会ストレスの生け贄になってしまう現実があるからこそ、忌避せざるを得ないのではないでしょうか。

それは、「自分が誰に投票したか他人に知られない権利」という最後の身を守るべき砦をネットに壊されたくないからではないかとも思います。

匿名と公開に親和性がないことと同じで、秘密投票を主とする選挙の中で、候補側にだけ情報発信責任を強いることは、民主主義を育てないことなのだと思います。

そのために中立機関である選挙管理委員会に対しては、公平公正に匿名性のある有権者全員に候補者の有り様を知らせなければならない義務を負わせるべきなのだと思います。そうすることによって、初めてネットでの選挙活動というものも活きてくるように思います。

政治の話は避けるべきという「文化」をどう考えるか

――就活や若者に限らず、日本では以前から社交において「野球と政治と宗教の話はタブー」というような「定説」もあり、政治の話は避けるべきだというムードが支配的です。こうした「文化」をどう考えますか?

あまり良い文化だとは思えません。それは、相手の立場で考えて、相手を尊重するという文化を、本当は育ててこなかったのではないかと思います。

例えば、議論にならずにケンカになってしまうとか。また、取引上の便宜だとか、談合入札だとか、組織が政治に積極的に関わる理由には、実は後ろ暗いこともあって「知らない方が身のため」という心理が働くのではないでしょうか。

今後の日本にとっても、あまり良い文化とは思えません。

日本の労働環境も「人を育てる」から「育ったモノを壊れるまで安く使う」という方向に舵を切ってしまったと思いますので、どこかで戻さない限り、保身のために口をつぐむ人たちが増えて、より自由にモノが言えなくなる世界になってしまうのかな、という危惧があります。

そんな中で、同調圧力が強い特性を持つ日本人ですので、人と違うことをするのは、ギャンブラーに近い扱われ方なのかもしれません。

ギャンブルみたいなことでお金を稼いだ人を、日本では蔑みますが、あれと同じようなモノが政治家と見られているのかな、と思います。

だから、きっと世界標準で見ても高い報酬と落選したら即ホームレスくらいのリスクがあるのでしょう。これで尊敬される職業とするのは、難しいです。

子どもたちにも良い影響とは思えません。世界の人種が集まる国のような多様性を体感しないと、こうなってしまうのかな、と思います。

(文:泉谷由梨子)

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