「メイド・イン・アメリカ」の復興は前途多難だ 組立工場を中国から米国に戻したものの…

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ラストンにあるモンスター・モトの広い倉庫の様な工場では、数十人の作業員が、短いが複雑な組み立てラインで働き、箱詰めされた輸入部品をバイクに組み立てている。

ビリー・マハフイという名前のひげの長い作業員が、一人でバイクのエンジンをふかしてエンジンやブレーキのテストを行い、その後、数人の作業員が完成したバイクを「米国組み立て」と書かれた箱に入れていく。

その箱書きの効果もあり、ウォルマートなどの大口顧客からの需要が足元で拡大している。同社は、生産を8万台に倍増させ、時給13─15ドルで働く組み立て工場の従業員数を、2017年の約40人から、100人へ増やす予定だ。

最初に米国内で製造できそうな部品は金属フレーム

モンスター・モトが、アメリカで最初に製造できそうな部品は、バイクやゴーカート用の黒色の金属フレームだ。だがそのために溶接工を雇えばコストがかかりすぎるため、生産を自動化する必要がある。

「コスト構造をぶち壊すことはできない。米国で(フレーム生産を)実現する唯一の方法はロボットだ」と、モンスター・モトのリック・スカール最高執行責任者(COO)は言う。

同じ理屈は、米自動車部品のデルファイ・オートモティブ<DLPH.N>のような、より大きなメーカーにもあてはまる。同社のジョー・マッサーロ最高財務責任者(CFO)は2月、アナリストに対し、同社の時給払い労働者の90%が「コスト的に最善な国にいる」と指摘。

メキシコから米国への生産拠点の移転について質問されると、マッサーロCFOは、貿易ルールへの改変次第で、「労働条件の格差を考えれば、(米国生産は)オートメーション化された製造作業にならざるを得ない」と述べた。

こうした傾向はすでに、ワシントンを拠点とする経済政策研究所のデータにも表れている。同研究所のシニアエコノミスト、ロバート・スコット氏によると、米国は1997年から2014年にかけて、全体の23.5%にあたる8万5000の工場を失っただけではなく、1工場当たりの従業員の平均人数も14%減少して44人となった。

スコット氏によると、従業員の減少はオートメーション化によるところが大きい。

「すべての企業にとって経済的に合理的であり、この国ではさらにオートメーション化が進むだろう。嘆き悲しんでも、状況は変わらない」と、ボストン・コンサルティングのマネージング・ディレクター、ハル・サーキン氏は話す。

生産をオートメーション化すれば、必要な労働者数は減るが、ロボットのプログラマーやオペレーターなど、よりスキルの高い労働者が必要になると製造各社は語る。全米製造業協会(NAM)の推定では、こうした「スキル・ギャップ」により、1200万人以上を雇用する業界内で、35万の欠員が生まれているという。

ラストンのロニー・ウォーカー市長は、同市の経済の多様化を狙っており、モンスター・モトにリース保証を行うことで、その成功に賭けている。組み立て工場周辺にサプライヤーが移転することを見込んでいるからだ。

「製造業を取り戻すには時間がかかるだろうか。もちろんだ」と、ウォーカー市長は言う。「しかしどこかで始めなければならない」

(翻訳:山口香子 編集:下郡美紀)

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