学生が選ぶ「優秀でないと内定取れない」20社 就活生はなぜ1位にあの電通を選んだのか?

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就職人気ランキングでは、電通は過去ずっと上位にランクインされていたが、今年は急落している。たとえば、「みんなの就職活動日記」の新卒就職人気企業ランキングでは、昨年(2017年卒)、一昨年(2016年卒)と、2年連続で1位となっていた。しかし、今年の2018年卒人気ランキングで、23位へ急降下した。その理由は電通の過労死事件がマスコミで大きく報じられたことにある。

電通過労死事件とは、2015年春に東京大学を卒業して電通に入社した高橋まつりさんが、その年の12月に他界した事件である。報道によれば、高橋さんの残業は100時間を超え、上司からパワハラも受けていたという。「ブラック企業」を許さないという社会的コンセンサスもあり、報道をきっかけに「電通=ブラック企業」というイメージが広まっていった。

学生は志望企業がブラック企業かどうかということを非常に気にしている。同じ調査で、「志望先企業がブラック企業か気になりますか」という設問を設けているが、65%が「かなり気になる」と回答し、「少し気になる」が28%、「あまり気にならない」が5%で、「全く気にならない」は2%にとどまった。文系・理系ともに同じ傾向であり、「気になる」比率は合計で9割以上となっている。志望企業の選定では、ブラック企業かどうかは、重要ファクターだ。

それにもかかわらず、同じ「みんなの就職活動日記」の調査(「あなたの志望の有無に関わらず、優秀な学生が内定を取るイメージが最も強い企業を1社お選びください」)で、電通は1位なのだ。

ブラック企業かどうか9割が気にする

ポイントは「あなた自身の志望の有無に関わらず」という設問にある。

「優秀な学生が内定を取るイメージが最も強い企業」として電通を上げた学生を調べると、電通と回答した学生145人のうち、志望業界として「広告」を挙げた学生は15人しかいなかった。他はまったく関係のない業界を挙げている。「志望の有無に関わらず」という前提に、学生が忠実に回答しているといえる。

電通を選んだ理由を読むと、「東大」や「社員の優秀さ」について触れている記述が多い。「社員の出身校が有名大学だったから」(大阪大学、文系)、「東大卒の女性が就職という報道があったから」(熊本大学、理系)、「入社が難しい日本でも有名な広告会社と認識しています」(共立女子大学、文系)、「激務」(横浜国立大学、文系)、「東大卒の人が多いイメージ」(長崎大学、文系)など。

これらの記述を読むと「東大=エリート」で、その東大生が多く入る「電通=超エリート企業」という連想が働いているように思える。

2位以下も見ていこう。今回の「優秀な学生が内定を取るイメージが最も強い企業」調査で、電通と並んで100人以上の学生が挙げたのが、伊藤忠商事だ。文理合わせると2位だが、文系に限れば1位となっている。

伊藤忠商事が評価される理由はシンプル。日本一の商社だからだ。「売上高業界一位を獲得できた、非財閥系の総合商社であるため」(同志社大学、文系)、「総合商社ということで早い頭の回転と言語能力の高さが求められるため」(首都大学東京、文系)、「総合商社は特に優秀な学生が多く応募するイメージ」(筑波大学、理系)、「総合商社のトップであり、高い能力が求められるから」(一橋大学、文系)、「高い学力に加え、海外経験や体育会系の部活をやっていないと厳しそうだから」(広島大学、文系)、「商社の中でも一流中の一流なので」(桐朋学園大学、文系)なのである。

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