アニメ「聖地」で魅力PR、京阪と叡電の挑戦 きっかけは「けいおん!」巡礼者だった
叡電と同じ京阪グループの京阪電気鉄道も2011年夏に「けいおん!」とのタイアップを決めた。映画版が公開されるのにあわせて、石山坂本線(滋賀県大津市)でラッピング電車「放課後ティータイムトレイン」を走らせることになった。
運行初日の朝7時、600形電車が車庫から出てくると、近江神宮前駅や線路際で待ち受けていたファンたちからどよめきが広がった。フルラッピング仕様で5人のメインキャラクターが車体狭しと描かれていたからだ。車内にも作品の1コマ1コマを拡大したシールが貼り巡らされ、扉や吊り革にまで意匠が施された。
彼らが即座にツイッターでつぶやき、ブログで速報したことで、情報は一気に拡散した。京阪も記念切符を準備するが、7000セットはまもなく完売した。
全国からファンが殺到
それから半年、全国の「けいおん!」ファンが大津市に殺到した。ラッピング車両はいつ走るのか、現場に問い合わせが殺到し、途中からホームページで運行ダイヤと発車時刻を公表するようになった。「けいおん!」づくしの車内を見るため、ファンたちは撮影するだけでなく、ラッピング電車に乗って小旅行を楽しんでくれた。
2014年に「けいおん!」ラッピング電車第2弾を運行したとき、何度も来てくれるファンのためにちょっと工夫をしてみた。ヘッドマークのデザインを2~3週間ごとに入れ換えてみたのだ。「お気に入りのキャラクターはいつ登場するんだろう」とみんな喜んでくれた。
京阪本線でも、2014年からアニメ「いなり、こんこん、恋いろは。」とのタイアップが始まった。世界的な有名観光地となった伏見稲荷大社をモデルにした作品であったが、京阪サイドとして大きな期待をしていたわけではない。京都市役所から依頼されて「地域振興の一助にでもなれば」と名を連ねたというものだった。
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