アニメ「聖地」で魅力PR、京阪と叡電の挑戦 きっかけは「けいおん!」巡礼者だった

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なぜ叡電と京阪は、アニメとのコラボに可能性を見いだしたのか。

背景に、両社線の利用者減が1990年代半ばから顕著になったことがある。通学生の減少に加え、他社線との競合もあった。沿線外からの観光客誘致にも手詰まり感があった。

なんとか利用者を増やす材料はないのか。頭を悩ませていた両社に、突然現れたのが「聖地巡礼」をするアニメファンたちだ。

集客のために会社としてPRしたわけではない。それでも、ツイッターなどSNSに書き込まれた体験談が口コミで拡散し、それに魅入られた人たちが足を運んでくれた。

当初、見慣れぬ若者たちに、現場では当惑もあったという。その評価を一変させたのは彼らだ。

礼儀正しくふるまってくれた人が多かったし、大きなトラブルもなかった。車両を撮影するだけでなく、切符を買って電車にも乗ってくれる。さらに情報発信までしてくれる。本当にありがたい存在になってきた。

だからこそ、「また次の企画をやろう」との意見が出たとき、社内で反対の声は出なくなっていた。

沿線の良さを知ってもらう機会に

叡電の泉水さんは「沿線の良さを幅広いファンに知ってもらった。それが財産だと思います」と指摘する。観光客数が落ち込む冬から春にかけての閑散期に、効果的な営業施策に成長してきたと実感している。

「ファンと一緒に作品を盛り上げていきたい」と言うのは福村さん。現在、営業課で集客策を考える立場となり、アニメ「NEW GAME!」を軸とした企画に取り組んでいる。

京阪大津鉄道部で担当していた乾浩一さんは「石山坂本線は関西でもあまり知られていません。だからこそ、外部リソースを借りながらでも、路線の魅力を発信していきたいんです」と語る。

競技かるたを題材にしたマンガ『ちはやふる』とのタイアップもその1つだ。沿線の近江神宮を舞台としていることもあり、昨年、実写映画が公開された時には、ロケ地の「聖地」化に熱心な製作側や自治体と連携を深めた。映画は口コミでヒットし、神社の参拝客は倍増した。

1度でも足を運んでもらい、沿線や街の良さを知ってもらう。その積み重ねが、地域と鉄道の魅力向上に繋がっていく。

「聖地」を訪れた人たちのリピート率は意外に高い。そうした輪を持続させていくためにどんな工夫ができるのか。叡電と京阪の取り組みは今後も続く。

森口 誠之 鉄道ライター

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1972年奈良県生まれ。大阪市立大学大学院経営学研究科前期博士課程修了。主な著書に『鉃道未成線を歩く(国鉄編)』『同(私鉄編)』など。

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