アニメ「聖地」で魅力PR、京阪と叡電の挑戦 きっかけは「けいおん!」巡礼者だった
翌2010年に続編の第2期「けいおん!!」が放映されたこともあり、「聖地」人気は持続された。最初の2年間で万単位のファンが叡電を訪れてくれた。リピーターもたくさんいた。ビデオカメラを持ち込み、アニメと同じ制服でコスプレをして撮影する人たちも現れた。
営業課の泉水晃さんも、「聖地」として変化し始めたことに気づいていた。
せっかくだから、ファンに何かサービスできないか。社内でアイデア出しに取り組み、記念切符の発売を決めた。
デザインに凝って楽器型の硬券切符にしたら制作費がかさんでしまった。大人気作品ゆえに販売時の列整理に人を割かないと大きな混乱が起きかねない。泉水さんには迷いもあったが、「来てくれたファンのために、感謝することが大事だよ」と会社上層部も後押ししてくれた。
記念切符が販売された2011年6月12日早朝、出町柳駅にファンたちが殺到し、行列は高野川を越えて下鴨神社付近まで続いた。準備した6000セットは2時間半で売り切れた。
訪れたファンたちのもう1つのお目当ては、この日から運行を始めた「けいおん!」ヘッドマーク付き電車だ。記念切符セットに入っている1日乗車券を使って「聖地」を回る人たちも多かった。
どうやって勢いを持続させるか
「この勢いを持続的な集客に繋げられないか」と泉水さんはアイデアをひねった。
次の提携先はマンガ出版社の芳文社で、2011年から「きらら×きららプロジェクト」としてスタートさせる。「けいおん!」の原作マンガを連載していた雑誌「まんがタイムきらら」と、叡電の誇る観光列車900系「きらら」の名前が偶然一致していることにちなんだ企画になる。
この後、「きんいろモザイク」や「ご注文はうさぎですか?」など同誌掲載作品がテレビアニメ化されるのにあわせて、キャラクターを描いた記念切符を販売したり、ヘッドマークやラッピングを施した電車を走らせたりした。
それを見た他社からの持ち込み企画、あるいは「京都国際マンガ・アニメフェア」と連動した動きも続く。年に5、6回、継続してアニメ関連イベントをしていると、幅広いファンから注目を集めるようになった。
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