異例づくしの東芝、本決算を乗り切れるのか 監査法人は「意見不表明」、決裂は決定的
この追加調査を開始したのは2月12日。これは決算発表の2日前である。東芝は「30日間もあれば足りるだろう」と第3四半期決算を3月14日に延期した。
そして延長期限を4日後に控えた3月10日。東芝は追加調査の「報告骨子案」をPwCあらたに示した。すると「巨額損失の認識に関してさらに追加調査をしろ」と言われた。3月14日の決算発表予定を再延長したのはこのためである。
再延長後の提出期限を2日後に控えた4月9日時点では、東芝の監査委員会とPwCあらたとの信頼関係は完全に冷え切っていたとみて間違いない。同日、これまで「案」という形で示してきた監査委員会は「調査は完了した」と断定して、「包括報告書」をPwCあらたに突きつけた。PwCあらたは追加の調査を要求しない代わりに「意見不表明」の四半期レビュー報告書を提出することにした。
以前から損失を覚悟していたか
PwCあらたと東芝の監査委員会の最大争点は、今回の第3四半期より前から、つまり2016年10月以前に東芝やWHの経営幹部がS&Wの巨額損失をどこまで覚悟し、それを隠蔽しようとしていたかだ。
それを調べるには2016年10月以前のメールのやり取りを調べなければならない。東芝の監査委員会は2015年7月~今年2月までの60万通ものメールをデジタルフォレンジック(消去メールを復元する手法)で調べた。それでもPwCあらたは「調査は不十分」だとし、東芝の監査委員会は「これ以上の調査は必要ない」という立場を譲らなかった。
今回は意見不表明ながらレビュー報告書自体は四半期報告書に添付されたので、外形上、「レビュー報告書を付した四半期報告書が提出できない場合」という東証の上場廃止基準に抵触しない。
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