大手生保が熱視線、急拡大する「経営者保険」 年率7~8%増、国内で数少ない成長分野
他社商品の取り扱いに踏み切ったのは、住友生命側にもメリットがあるからだ。「長年の実績を踏まえた業種別の切り口や販売ノウハウなど、当社にはない現場の生きた知識、成功事例を学ぶことができる」(住友生命の堀竜雄・営業企画室長)。
さらに、単に中小企業経営者層の保険ニーズを取り込むだけではなく、「経営者の先にいる、中小企業で働く従業員向けの個人市場につなげることができる」(堀室長)と期待している。
住友生命に限らず、生保各社にとって最重要課題の1つは新人営業職員の採用と育成だ。セキュリティの関係から大企業における営業活動は一層厳しくなっており、営業上アクセスのしやすい中小企業が新人育成の格好の場としても注目されている。
手始めに、住友生命の営業職員3万人のうち、東京、大阪、名古屋の3大都市圏の成績優秀な職員をエヌエヌ生命の教育チームの元に派遣し、徐々に販売を拡大していく方針だ。
中小企業の保険ニーズが拡大
経営者向け市場が注目されているのは、中小企業側にも事情がある。「業績好調で現預金は積み上がっている。一方、少子高齢化で人材確保が難しい中、従業員向けの福利厚生を充実させて人材を確保したいというニーズがある。経営者も平均年齢66歳と高齢化しており、代替わりや勇退に備えた資金ニーズも出ている」(前出の山口部長)という。
グラフのように、中小企業の利益は堅調に伸長、もしくは積み上がっている。企業規模別に見ても、凸凹はあるものの、総じて右肩上がりにある。業績が比較的堅調なため、保険料を支払ってリスクに備える余裕も出ているようだ。
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