ヤマトに連想される「儲からない物流」の真実 「荷物が増えるほど利益率悪化」の事実はない

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すると、2010年~2016年まで8~12%前後で推移している。かなり高い営業利益率が確認できる。

もちろん、「危機は小規模事業者」という突っ込みもあるだろう。だから、ここでは調査できるうち小規模資本とみなせる、資本金1000万円以上~1億円未満の企業も見てみた。2%台半ば~4%台半ばぐらいで推移している。

さすがに大手と比べて利益水準は低いものの、近年になるほど儲からなくなっている傾向を一連のデータから読み取るのは難しいのではないか。

もちろん現場は大変だ

私は「現場は困窮していない」と主張したいわけではない。もちろん現場は大変だ。ただし、「荷物が増えるほど利益率が悪化している」ようなイメージとはちょっと違うのかもしれない。

現在、ドライバーの有効求人倍率は2倍を超えている。しかし、それでも人は集まらない。140万人を抱える同業界で、就業者は高齢化している。トイレの整備等々の問題があり、中小企業が大半の同業界にあっては女性活用もなかなか進まない。週に60時間以上就業する人の割合も運輸が最多となっている。モノを運ぶ重要性は上がっている。

ミクロな点からは私たち消費者が再配達を防いだり、あるいは適正なコストを払ったりするのは大切だ。それと同時に、経営側も、利益をたとえば留保するのではなく、物流効率化の設備投資等に費やすことも望まれるといえるだろう。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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