政府・与党で沸き起こる「黒田続投論」の中身 中曽副総裁、丹呉元次官、伊藤隆敏氏も浮上
[東京 6日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁の任期である2018年4月8日まで残り1年を切り、市場関係者だけでなく、政府・与党内からも後任人事をめぐって様々な観測が交錯し始めた。2%の物価目標達成がなかなか見通せない中、次期総裁のスタンス次第で金融政策運営が大きく変化する可能性もある。
政府・与党関係者の間では「ブレない」黒田総裁への信認が厚く、「続投待望論」も出ている。
政府首脳の信認厚い黒田総裁
黒田総裁の後任人事は、3期9年の長期政権を目指す安倍晋三首相の意向が、強く反映されそうだ。
安倍首相は1月30日の衆院予算委員会で総裁人事について問われ、黒田総裁の金融政策運営に「全幅の信頼を置いている」とし、次期総裁にも「黒田さんの路線をしっかりと進めてもらいたい」と語った。
デフレからの早期脱却を至上命題とする安倍政権にとって、日銀による強力な金融緩和の継続は、マクロ経済政策の大前提。
ある政府関係者は「アベノミクスを支えているのは、雇用改善と株高・円安。特に金融市場の変化は、日銀の大規模な金融緩和のおかげ」と述べ、「安倍首相が黒田総裁を信頼していると発言したのも、あながち社交辞令ではないだろう」との見方を示す。
別の政府筋によると、安倍首相や菅義偉官房長官など政権中枢の黒田総裁への信認は厚く、続投を要請する可能性は十分に考えられる、という。
黒田総裁は、アベノミクスに懐疑的な与党内の財政再建論者からも高く評価されている。
消費増税の重要性を繰り返してきた黒田総裁は、大胆な金融緩和で為替の安定を実現する一方、財政健全化の重要性も認識。野放図な財政出動と日銀の国債買い入れを同時発動するヘリコプターマネーのような「過激な政策」には踏み切らないとの安心感がある、という。