関テレ「公安ドラマ」は世界でヒットするのか 世界での放送・配信を目指す地方局の挑戦
「4年前、家電量販店で恒例の”春の新生活応援セット”が置いてあるのを見た時、一連の家電製品の中に”テレビ”がないことに驚いたことを思い出します」
そう話すのは、今回のワールドプレミア出品を推進してきた関西テレビコンテンツビジネス局長の岡田美穂氏だ。
当時は別の役職だった岡田氏が、この事を思い出したのは昨秋に国際コンテンツ商取引の現場を訪れたときのこと。今は新生活にテレビが不要と思われる時代だ。そんな時代にテレビ局が生き残るには、自主制作コンテンツの質を高め、放送外の収益を挙げる必要があると確信したという。
足元に大きな不安があるわけではない。東京オリンピックというビッグイベントに向けて2020年まではテレビ広告市場は伸び続けると予想されている。日本ではネットフリックスやアマゾンビデオに代表される加入型の定額制ビデオ配信サービス(SVOD)の普及が他国に比べ進んでいないこともあり、とりわけ視聴率、収益ともに絶好調の日本テレビをはじめ在京キー局の足元は固い。
ところが、海外に目を向けると、風景は変わる。市場の変質が急速に進んでいるのだ。
セラーの意識もネット配信へ
世界レベルでみると、年間60億ドルの投資をしているネットフリックスをはじめ、SVOD業者の台頭が映像ビジネスの形を大きく変え始めている。MIPTVに集まる4000人のバイヤーも、今やそのうちの1000人がSVOD向けに映像作品の買い付けをしているという。”セラー”、すなわち映像を販売する側も、ネット配信を意識せざるをえない。
この動きは何も欧米だけではない。日本アニメを爆買いする中国の配信業者は言うに及ばず、アジア地区でもマレーシア発のSVOD業者「iflix(アイフリックス)」が急伸。ハリウッドコンテンツに加え、アジア向けコンテンツを多数揃えて配信地域を広げている。
電波規制の枠を簡単に越えられるネット配信には、地域文化にマッチしたコンテンツを並べることで簡単に国境を越えて事業が拡がる特徴がある。地続きで国が繋がる東南アジア地区で伸びるアイフリックスは今年、中東やアフリカといった地域にまで営業地域を広げるという。
急速に映像ビジネスの事業環境は変化しているが、これまで関西テレビはMIPTVで番組販売の商談を行うブースさえ持つことができなかった。海外で売れるアニメの制作を行ってこなかったためである。
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