関テレ「公安ドラマ」は世界でヒットするのか 世界での放送・配信を目指す地方局の挑戦

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放映地域に縛られる地方局ならではともいえる決意は、制作陣はもちろん出演者にも波及するようだ。主演の小栗旬氏は、以前から決まっていた舞台公演が重なり欠席したものの、西島秀俊氏は終演後のあいさつで次のように話した。

「プロデューサーの笠置高弘さん、原案・脚本の金城一紀さん、主演俳優の小栗旬さんは、海外の皆さんと共に仕事をする準備ができています。作品だけでなく関わったすべての人たちについても声を掛けて下さい。この上映をきっかけにCRISISだけでなく、世界の皆さまに観ていただけること、日本のドラマがより多くの方に届くことを願っています。興味を持っていただいた方は、ぜひスタッフに声を掛けてください。もちろん、僕でも良いですよ!」

そう話した終演後のカクテルパーティでも、西島氏は精力的に海外バイヤーやプレスに対応していた。

地方テレビ局は生き残っていけるのか

近い将来を見据えたとき、地方テレビ局は本当に生き残っていけるのか。岡田氏は次のように言う。

「地方局でプライムタイムに全国放送のドラマ枠を持っているのは関西テレビだけ」と語る岡田氏(筆者撮影)

「実は地方局でプライムタイムに全国放送のドラマ枠を持っているのは関西テレビだけ。関西テレビのドラマ制作は、かつて独立系映像制作会社に制作協力を仰ぐケースが多かった。しかし制作会社の力を借りずにドラマを作ろうという機運が高まった時期があり、大赤字を出しながらもドラマを自主制作中心へと切り替えてきました。この社内のムーブメントがコンテンツ制作力を磨き、今回のCRISISを生み出しました」

「社内制作を進めたことで、社内に脚本も書けるプロデューサーが育ち、社内監督が腕を磨ける機会も増えました。今では映画制作時に社内の監督が抜擢されるほどになっています。今ある自分たちの力、ノウハウを活かして、地方局の枠を超えて映像を楽しんでもらえるよう、今度は関西テレビ制作のドラマ作品を日本全国で観てもらえるようにしよう。そして、さらにグローバルに向けた番組作りをしよう。そうした機運、ムーブメントが広がっています。これが会社全体の意識改革につながっていく流れをつくりたい」

ワールドプレミア上映の成功は、彼らにとって”結果”ではなく、新たな挑戦へのスタートとなったようだ。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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