関テレ「公安ドラマ」は世界でヒットするのか 世界での放送・配信を目指す地方局の挑戦

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このままではいつか行き詰まる。そう考えて、グローバル市場に向けて発信していく重要性を悟ったと岡田氏は話す。

「準キー局と呼ばれることもある関西テレビですが、実態はフジテレビ系列の一地方局。全国放送枠を持っているとはいえ、自主制作番組を観てもらえる経済圏は限られています。今後、生き残っていくためにはコンテンツ制作力を磨き、良い作品を放映地域以外で観てもらう機会を増やすしかありません」

もっとも、ワールドプレミアでの上映にはリスクもある。アジア製実写ドラマは、韓流ドラマが近年、ブラジルなど南米で放映実績を積んでいるものの、西欧での放映実績は極めて少なく、著名な日本人俳優もほとんどいない。

ワールドプレミア上映となれば、見本市会場の良い位置に看板を掲げ、公式プログラム内でも目立つ位置に上映案内が掲載される。会場の至る所にプレミア作品のポスターが展示、誘導されるが、それでも不安は消せなかった。岡田氏は次のように語る。

「本当にバイヤーは集まってくれるのだろうか――。カンヌでの準備を進めていたスタッフは不安を抱えていました。”カンヌで不発”と書かれてしまうかもしれない。上映当日、開場時間が来る頃には入場を待つ人たちの行列ができているのを見るまでは本当に不安でした」

関西テレビ全体の空気を変えた

もちろん、ワールドプレミア上映は成功したものの、肝心の商談はこれから。「番組販売はFCC(フジクリエイティブコーポレーション)への委託となりますが、事前に購入を決めていた(アジア地区の)バイヤーから好評をいただいている他、これまではまったく取引のなかった欧州地域のバイヤーからも声をかけてもらい商談が始まっています」(岡田氏)。

岡田氏はワールドプレミア上映で得られたもっとも大きな成果は、もっと別のところにあるともいう。海外番組販売の経験が浅く、50年以上続くMIPTVの中でもほとんどのバイヤーが関西テレビの名前を知らない中でのプロモーション効果は(”成功”がもたらした結果論だが)大きいことに加え、そうした”結果”が関西テレビ全体の空気を変えたことだ。

日本ドラマの海外進出を阻む要素はいくつかある。

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