山田氏は「ワシは『やる気のあるヤツには逆らわん』主義なんや」と、社員のやる気を引き出す方法をつねに考えていた。
まずはそんな社風ですくすくと育った若手平社員たちの「自由すぎるエピソード」を紹介しよう。
山田式「やる気のあるヤツには逆らわん」主義
1.平社員から抜擢の「若手の子会社社長」は月給100万円
冒頭に書いた、子会社社長の社内公募に手を挙げて、ちゃっかりと新社長に就任したY社長は、まず「月給100万円」と自分で決めた。
続いて、彼は「新会社の製品を既存の茨城工場ではなく、山形工場の敷地内に新工場をつくって製造したい」と言い出し、本社の債務保証なしで、2億円を融資する銀行まで自力で見つけてきた。
「Y君の行動力はすばらしいが、どう計算しても茨城工場で製造したほうが、コストは10分の1で済む。そこでワシを納得させる資金計画書を持ってくるように伝えたが、彼からの返事はなかったんや」(山田氏)
結局、山田氏はY社長を解任して平社員に降格。しかし、「やる気のあるヤツには逆らわん」主義で、「自由すぎる若手社長」を誕生させた事実に変わりはない。
2.入社1年目の社員に「重要な仕事」を思い切って任せてみる
「JIS受審」という仕事がある。新製品に「JIS(日本工業規格)マーク」を表示するには、当初1年間は同マークなしで、それにふさわしい品質の製品をトラブルなく製造し続けることが求められる。
また、JIS基準の品質を安定してつくれる工程が社内に整備されていることを、経済産業省に認証してもらわなければいけない。そのために必要な作業工程や品質管理体制を工場内に確立させるのも、「JIS受審」の仕事のひとつ。
そんな重要な仕事を、未来工業では入社1年目の平社員に任せることも多い。その延長線上に、先の「若手平社員の子会社社長の就任」もある。
3.新入社員は「教育しない・管理しない・強制しない」の3ナイ主義
そもそも、未来工業の新入社員は、「教育しない・管理しない・強制しない」の3ナイ主義だ。
「教育・管理・強制」の3つを実施しなければ、大半の会社はきっと大混乱に陥るはずだが、山田氏は逆に「3ナイ主義」を職場に徹底させる。
若手が自由な発想やアプローチで試行錯誤をして、1人でも多くの社員が仕事へのやる気を高められるように工夫しているのだ。
しかし、ここまで「若手平社員に“自由”にやらせて」問題は起きないのか?
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