「Hello」の発音ひとつで人の見る目が変わる 一目おかれる「教養ある英語」を話すコツ

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「発音」によって、人生が大きく変わった人物もいます。「鉄の女」として知られたイギリスの元首相マーガレット・サッチャー氏です。

食品雑貨商を営む家庭に生まれ、下層中流階級の出身にもかかわらず、中上流階級の子弟が集まるオックスフォード大学に進み、国のトップにまで上り詰めたという経歴の持ち主です。

彼女の政治家としての成功の裏には、「発音」への努力もありました。

自分の英語の発音にコンプレックスを感じていたサッチャー氏は、映画『マイ・フェア・レディ』の主人公のように、個人教授をつけて徹底的に上流階級の発音の訓練を重ねたそうです。保守党は中上流階級が支持母体であるため、学生時代から苦労して身に付けた発音が、まさに政治家として成功するための道を切り開いたといえます。

「たしなみ」としての英語の発音

イギリスでは、ビジネスエグゼクティブや弁護士、教師などにとって、英語の発音は一種の「たしなみ」ととらえられる傾向にあります。それほど発音が、「信頼できる人物」という印象を左右するものであることを示しています。

イギリスのサッカーのスーパースターであるデビッド・ベッカム氏が、米国に渡ったときのことです。彼の英語の発音が、イギリス国内で話題になったことがありました。

ベッカム氏の話す英語は、独特の発音や言い回しのあるコックニーと呼ばれるもので、いわゆる標準的な英語とは異なります。外国人にはもちろん、ネーティブ同士であっても聞き取りづらいことがあり、英語の教材ではまず耳にすることのない英語です。あるイギリス大手の新聞は、「通じやすく、わかりやすい発音で話すことはマナーである」と論じ、彼の発音が好ましくないと指摘しました。

アメリカに渡ってしばらく経った現在、ベッカム氏の英語はだいぶ標準的になっていると報じられています。どのような経緯で発音を変化させるに至ったのかは定かではありませんが、それがニュースとして取り上げられるほど、「発音」に興味や関心が持たれる話題であることがわかります。

日本人にはピンときませんが、それだけ発音が人に与える印象を左右し、魅力のひとつになりうることを示している例だといえるでしょう。

これらのエピソードは、日本人でも英語の発音をひと工夫することで、印象を大いに変えるチャンスがあることを示唆しています。英語を話すときには、物おじせずに積極的にコミュニケーションすることがまずは大切です。でも、「英語なんて通じればいい」と単純に割り切ってしまうのは、ちょっともったいないかもしれませんね。

世界のどこへ行っても、敬意をもって大切に扱われるような、「たしなみ」としての英語の発音を身に付けていただきたいと願う次第です。

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