薬局の人手不足が招く恐怖のシナリオとは? 他のどの業界と比べてもその問題は深刻だ

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

さまざまな理由が挙げられている中で、特に答えが多かったのが、「田舎だから」。4割近くの薬局が、この答えを選んでおり、都市部に比べて人口の少ない郡部や中山間地などの方が人手不足は深刻であることは疑いようがない。そして、渡部・業界再編部長の指摘によれば、こうした地域にある薬局で人手不足に悩む薬局こそ、閉じたくても閉じられない状況に陥る危険をはらんでいることになる。

深刻な人手不足に対し、調剤薬局も無為無策でいるわけではない。CBnewsのアンケート調査では、採用に困った際の対応についても調査した=グラフ3=。

それによると、「人材紹介(派遣)会社に相談する」(42.4%)や「求人広告を出す」(39.3%)、「求人の条件を良くする」(31.8%)といった対策を講じる薬局が多いことが分かる。

渡部・業界再編部長も、こうした対応には一定の効果はあるとしながらも、特に中小の調剤薬局は、さらなる対応を検討する必要もあると指摘する。

「かかりつけ薬剤師の役割がより重視されるなど、薬剤師に求められる役割はどんどん変化しています。その結果、薬剤師の間では、規模の小さな調剤薬局より、教育や研修が充実した大企業を目指す傾向が強まっています。特に6年制課程を卒業した薬学生は、その傾向が強い。中小の薬局は、たとえばお互いが連携するなどして教育・研修の機会を充実させる必要があるでしょう。大手企業の研修に参加するのも有効です」

「志だけでは乗り切れない危機」

ただし、日本中で人手が不足している昨今、いくら努力しても結局、必要な人材を確保することができないこともありうる。

CBnewsのアンケートでは、万一、そのような事態に陥った場合への対応についても調査した=グラフ4=。

最も多かった答えは、「無理してもこれまでどおり薬局を続ける」。6割余りの経営者が、この回答を選んだ。次いで多かったのは、「開局時間を調整する等して薬局を続ける」(16%)で、人を確保できなくても、薬局を続ける意思を持つ経営者が8割近くいたことになる。

次ページほとんどの薬局が人材面で危機に瀕している
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事