北海道新幹線1年、道南に「東北化」の兆し ダイヤ改正で青森-函館はさらに遠く

✎ 1〜 ✎ 20 ✎ 21 ✎ 22 ✎ 最新
拡大
縮小
函館駅と新函館北斗駅を結ぶ「はこだてライナー」。青函圏はダイヤ改正で「遠く」なった(2017年1月・筆者撮影)

地元住民にとって、残念な動きもあった。JRグループの3月4日のダイヤ改正で、青函圏はさらに「遠く」なった。3月3日付の北海道新聞記事によれば、青森駅と函館駅を結ぶ列車乗り継ぎの最長時間は、改正前より9分長い2時間40分に。基本ダイヤの上下26本の平均所要時間は2時間4分と、改正前と変わらず、7本はそれまでより早くなった半面、8本が遅くなった。

新幹線開業前に青森駅-函館駅を直結していた在来線特急「スーパー白鳥」「白鳥」の所要時間は平均1時間55分だったといい、新幹線26本中、実に18本が、在来線時代の時間距離を上回る。その間、新青森駅と新函館北斗駅で2回の乗り継ぎを挟み、さらに料金が上がったことは、本連載で何度も触れてきた通りだ。

上記の「2時間40分」の接続ダイヤでは、新幹線の乗車時間が1時間1分なのに対し、新青森駅と新函館北斗駅の待ち時間が計1時間11分に達する。青函圏の住民からは、facebookなどで、悲鳴に近いため息が上がっている。

企業に現れる「道南の東北化」

北海道新幹線開業から初の冬を迎えた木古内駅(筆者撮影)

一方で、非常に興味深い情報にも接した。大阪市に本社を置くパッケージ企業「ザ・パック」は新幹線開業後、道南エリアを、札幌市の北海道支社から、青森営業所の管轄に移していた。同社に照会したところ、まだ成果が目に見える段階ではないが、時間距離が圧倒的に近いことによるという。

例えば、新函館北斗駅ではなく、木古内駅を起点とした、レンタカーによる営業活動を考えれば、今後、似たようなケースが出てくるかもしれない。「道南の東北化」の兆候とも言える。

次ページ「青森以遠」に向かう道南の関心
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT