地元住民にとって、残念な動きもあった。JRグループの3月4日のダイヤ改正で、青函圏はさらに「遠く」なった。3月3日付の北海道新聞記事によれば、青森駅と函館駅を結ぶ列車乗り継ぎの最長時間は、改正前より9分長い2時間40分に。基本ダイヤの上下26本の平均所要時間は2時間4分と、改正前と変わらず、7本はそれまでより早くなった半面、8本が遅くなった。
新幹線開業前に青森駅-函館駅を直結していた在来線特急「スーパー白鳥」「白鳥」の所要時間は平均1時間55分だったといい、新幹線26本中、実に18本が、在来線時代の時間距離を上回る。その間、新青森駅と新函館北斗駅で2回の乗り継ぎを挟み、さらに料金が上がったことは、本連載で何度も触れてきた通りだ。
上記の「2時間40分」の接続ダイヤでは、新幹線の乗車時間が1時間1分なのに対し、新青森駅と新函館北斗駅の待ち時間が計1時間11分に達する。青函圏の住民からは、facebookなどで、悲鳴に近いため息が上がっている。
企業に現れる「道南の東北化」
一方で、非常に興味深い情報にも接した。大阪市に本社を置くパッケージ企業「ザ・パック」は新幹線開業後、道南エリアを、札幌市の北海道支社から、青森営業所の管轄に移していた。同社に照会したところ、まだ成果が目に見える段階ではないが、時間距離が圧倒的に近いことによるという。
例えば、新函館北斗駅ではなく、木古内駅を起点とした、レンタカーによる営業活動を考えれば、今後、似たようなケースが出てくるかもしれない。「道南の東北化」の兆候とも言える。
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