日本の大手企業とエンゲル係数の意外な関係 庶民が飢えても大手企業は儲かる?

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3月13日、政府が導入を検討する残業時間の上限規制を巡る経団連と連合の交渉が100時間を基準とすることで決着したことを、安倍晋三首相(写真)は「画期的」と評価した。都内で5日撮影(ロイター/Toru Hanai)

経済発展の最も有名な指標の一つである「エンゲルの法則」によると、ある国が豊かになれば、家計に占める飲食費の割合(エンゲル係数)は低下する。農業と食品加工における生産性の向上によって、食品価格が大幅に低下するからだ。

エンゲル係数の低下に伴い、人々は収入を食費でなく、住宅や車、電化製品、休暇、服装や宝飾品といった他のものに回すことができる。それこそが豊かさの象徴といえる。

日本も終戦直後、食料不足や困窮に見舞われ、一般家庭のエンゲル係数は6割程度だったが、その後低下傾向を続けてきた。

エンゲル係数低下が止まったワケ

しかし、この流れは2005年前後に止まっている。総務省の統計によると、2005年の2人以上の世帯のエンゲル係数は22.9%だったが、2013年には23.6%となり、2015年には25%に達した。これはバブル期以降の過去30年間で最高の水準だ。

逆転の理由の一つは消費増税に伴う食品価格の上昇。もう一つの理由は円安によって輸入品価格が上昇したことだ。日本の食品の多くは輸入品であるため、円安は日本の消費者から海外生産者への所得移転ともいえる。

第2次安倍晋三内閣が発足してからの4年間で食品価格は11%上昇した。対照的に食料やエネルギーを除く物価の上昇率は3%にとどまっている。

これは奇妙なことではない。エンゲルの法則によると、人々が所得の多くを食料に費やす必要がある場合、他の品目に費やす余裕は小さくなる。

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