トヨタ「ハリアー」と「C-HR」の意外すぎる関係 登場4年目のSUVの魅力が再発見されている

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C-HRとハリアーが実際にどれぐらいの値引きで売られているかはわからない。販売店や営業マンごとのさまざまな事情によって値引き金額は変動するし、下取り車の有無も購入条件を左右する。それでも現時点では気持ち程度の値引きしかないC-HRと30万円を超える値引き例もあるハリアーの購入総額の差は、ほぼなくなってしまう事態が起こる。C-HRで最も高額なグレードとの比較なら、「ハリアーのほうが総額は安い」という逆転現象すらありうるのだ。

2車を比べたとき、C-HRのほうがエンジンや車体サイズが小さく、背も低く、全体的にスポーティな要素が強い。個性的なデザインと欧州でも通用する走行性能という、2つの要素を訴求することで、その存在感を際立たせることを念頭に開発された世界戦略車である。

対するハリアーの現行モデルは、かつて共通だったレクサスRXとは別物の、日本向けの高級SUVに生まれ変わった。車高を含め車体サイズはやや大きめで、ドライブフィールも快適性を重視した味付けとなっている。

普遍的ながら高級感を備えたスタイリングもさることながら、ハリアーでインパクトがあるのはむしろインテリアのほう。この空間をひとたび目にしてしまい欲しくなる人が少なくないのもわかる気がする。その他、C-HRには設定のないムーンルーフをはじめ、明るいアイボリーの内装色が選べたり、オプティトロンメーターやパワーバックドアなどの上級装備が設定されていたりするのも魅力に違いない。

燃費面では

燃費面ではC-HRが優位だが、SUVに乗るような客層はそこが購入を決める要素にはならない。C-HRは走り全般についても、定評あるプリウスについでトヨタの新世代プラットフォーム「TNGA」を採用し、欧州でも認められることを念頭に走り込んで鍛えたという。ただし、たとえ購入検討者が販売店で試乗しても、その本質まで伝わるかどうかは疑問で、購入の決定打になるかといえばなんともいえない。

実用性については、C-HRではユーティリティよりもデザインを優先したことを公言している。実際にも、後席の居住性や荷室はハリアーとは比較にならない。その点では、C-HRの購入を検討してみたときに、車格が上のハリアーが同じような価格で買えるというのは、ユーザーにとって意外な事実と受け止められるのだろう。いたって快適で、なんら気になるところもなく、見た目の高級感もあるハリアーに食指が動く人が出ても不思議はない。

ただ、ハリアーの販売が急増している現実は、C-HRがまだ新鮮味のあるタイミングにもかかわらず、たとえこのクルマに興味を持った人にとっても、どうしても欲しいという思いの強さよりも、合理性のほうが上回るケースが少なくないことを示唆している。

それはあえてC-HRのようなクルマを世に送り出した今のトヨタのチャレンジ精神をおもんばかると、少々残念な流れのようにも思えてくる。

岡本 幸一郎 モータージャーナリスト

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おかもと こういちろう / Koichiro Okamoto

1968年、富山県生まれ。大学卒業後、自動車情報ビデオマガジンの制作、自動車専門誌の編集記者を経て、フリーランスのモータージャーナリストとして独立。軽自動車から高級輸入車まで、国内外のカテゴリーを問わず幅広く市販車の最新事情を網羅するとともに、これまでプライベートでも25台の愛車を乗り継いできた経験を活かし、ユーザー目線に立った視点をモットーに有益な情報を発信することを身上としている。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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