「テロ対策特別措置法」期限延長の問題は、国際貢献のあり方から議論すべし【1】

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90年代から自衛隊の活動範囲が拡大
 
 テロ特措法は、自衛隊の活動の拡大の歴史から見ることもできます。

 1954年に設置された自衛隊は、専守防衛であるため、長年、日本国内でしか活動していませんでした。しかしソ連が崩壊し、冷戦が終わり、1991年には湾岸戦争が勃発しました。これを機に自衛隊は「国際貢献」のため、禁止されていた海外での活動を始めたのです。自衛隊はまず、ペルシャ湾に捨てられた機雷を取り除くために派遣されました。そして1992年にはPKO協力法が成立し、カンボジアの平和維持活動にも出動しました。その後も東ティモールで難民を救済するなど、自衛隊の活動の場は海外に広がっていきました。   
 ところが2001年、アメリカで同時多発テロが起きて「テロ特措法」が成立しました。「アフガニスタンで戦闘が行われる中(戦時中)」に、自衛隊はインド洋に派遣されたのです。2003年にはイラク特別措置法(以下、イラク特措法)が成立。自衛隊の海外活動はイラクという「戦地」に及びます(実際にイラク・サマワに派遣された自衛隊員の話をお聞きしましたが、自衛隊駐屯地に砲弾が飛んできていたといいます)。

 このように、わが国の平和貢献に対する基本的な理念もないまま、自衛隊の国際貢献はどんどん拡大していきました。私は、自衛隊による国際貢献は否定しません(自衛隊は国際救助隊のような復旧・災害支援部隊の設置や国連の下での警察活動を行う部隊の創設を検討すべきだとも考えています)。しかし、この場当たり的な国際貢献の拡大には懸念を感じています。

 今回のテロ特措法の延長の議論に関しては、PKO協力法、イラク特措法も含めて、「わが国の国際貢献をどうすべきか」という議論を行うべきでしょう。単にアメリカとの関係だけに配慮するような議論では、あまりにも近視眼的です。

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