いざ統合へ! ビクター・ケンウッド両トップに直撃−−河原春郎・ケンウッド会長

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いざ統合へ! ビクター・ケンウッド両トップに直撃−−河原春郎・ケンウッド会長

「この1年でビクターは変わった」--。佐藤社長は、はっきり言い切る。だが、資本提携から1年足らず。ビクターとケンウッドは、本当に同じビジョンを共有しているのだろうか。持ち株会社の最高経営責任者となるケンウッドの河原春郎会長に疑問をぶつけた。

--ビクターが行ってきたこの1年の構造改革をどう評価されていますか。

3月で古い体質の構造改革はほぼ終わったと思います。その面では及第点がつくのではないでしょうか。いちばん大変だったのは(資本提携を結んだ)昨年8月から10月ぐらいまでですかね。われわれも詳細がわからないし、ビクターも6月にトップが交代したばかりでしたから、未知の問題にたくさん遭遇しました。

何事も具体的な方向が定まるまでがいちばん大変なんですよ。8月の時点で腹は決まっていたんですが、実際に希望退職や事業の売却・分社化などの具体策が決まるのに時間がかかりました。ただ、年が明けて、(施策を)レビューする段階になってからはずいぶん進展しましたね。

--構造改革は、河原さんが主導で行われたのでしょうか。

基本的にはビクターの経営陣が出した改革案がたたき台になっています。それをケンウッドだけでなく、松下さん、スパークス(・グループ)さんも加わっていただいて、独立した形で定量的な評価をしたんです。毎月、フォロー会も開いて、株主が改革の効果の検証役になっています。同時に、私自身はインサイダーとして、改革実施の支援もしました。

--(統合の前提だった)ビクターの営業利益黒字化達成を危惧する声もありましたが、大株主3社は改革の進捗度合いがきちんと見えていたわけですね。

そういう人がいっぱいいましたよ(笑)。もちろん、われわれは改革の仕上がり具合はわかっていて、不足であればアドバイスをしたり、ねじを巻いたりしていました。

--外部の目がしっかりしていたというのが、この1年でいい方向に流れていった。

そうそう。特にこの半年、腹を決めてやり出してから、そういう動きがタイムリーに行われていった。これはたまたまできた結果ではなく、ちゃんとやった結果ですよね。

それともう一つは、従業員の意思もたいへんすばらしかった。会社をよくしようという点で、非常にしっかりしていたと思いますね。

--とはいえ、テレビ事業の国内縮小はビクター経営陣をはじめ、大きな抵抗があったのでは?

感情的には抵抗があると思いますが、理屈で考えると極めて明快な判断ですよ。テレビ事業は、ビクターにとって業績面の最大の重荷。何とかしないと、ほかでいくら稼いだって底なし沼に引きずり込まれる。これは、ケンウッドにとっても最大の懸念事項でした。

そういう中で見ると、テレビの総売上高に占める国内の割合は4分の1ですが、赤字は半分を占めています。国内を縮小すれば、半分赤字が消えるわけでしょう。これは重要な判断だったと思いますよ。ビクターも、これ以上深入りすべきではないとわかっていた。だから、先方から(国内縮小の)提案があったんです。踏ん切りをつけるのは大変だったと思いますが、彼らがコンサルタントを使って勉強して、いくつかの選択肢の中から結論づけた。

--いっそのこと、テレビから完全撤退する選択肢はなかったんですか。

ビクターにとって、テレビはアイデンティティ。それを保ちながら会社をよくしていくかというのが、最大のテーマだったと思います。

われわれのときもそうでした。債務超過だったときに、(無線、オーディオなどを)金融機関などから売却しろという圧力がかかった。でも、それを売ったらケンウッドじゃなくなるというのがあったし、手放さなかったことで持ちこたえた部分がある。創業以来の大きなアイデンティティを持った事業を、完全に捨て去るのは難しいですよ。

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