世界で日本ビジネスの存在感が減退するワケ

「日本エリートはズレている」の著者に聞く

――中東の知日派が、そんな日本・日本ビジネスを心配している、との指摘があった。

「日本は研究熱心で、積極果敢なファイターだったが、今は違う。慎重なだけで意欲に乏しい」「国内の尺度に縛られ、世界が見えていない」と心配している。「日本企業は、その国にじっくりはりつき、利益もリスクもシェアする関係を築こうという、意欲や体力がないのか。案件受注だけさっとやるつもりか。であれば、将来は厳しい」との声がある。

日本企業に長所は多いが、他国との比較の習慣を持たず、世界に関心が向かないことが根本的な制約になっている。中東や中韓の方が、日本よりも自分の欠点を自覚し、世界をよく見ている。世界の動向や力関係などのルールを知らないまま、ゲームに参加しても、勝つのは難しい。

――記者も海外で取材すると、日本の常識は世界の非常識、日本は井の中の蛙、と思えることがしばしばだ。日本が外から学ばなくなりズレてきたのは、成功による慢心ということか。

それもあろうが、中東の富裕層からは、「世界のダイナミズムから距離を置き、小さな支流で清く正しく暮らす奇特な人たち」「それでは世界の舞台で活躍できない」と見えている。 技術格差が縮小し、各国にチャンスが広がる中、人が海外に食い込み、ネットワークを築くことが従来以上に重要なのに、日本は逆にここが昔より弱くなっているのでないか。対照的に、中韓はここを格段に強化し、力をつけた。

日本は「別格」などではない

道上尚史(みちがみ ひさし)/駐ドバイ総領事。1958年生まれ。東京大学法学部卒。83年外務省入省。ソウル大学で韓国語研修、ハーバード大学修士。在中国大使館公使、在韓国大使館総括公使などを経て現職。著書に『日本外交官、韓国奮闘記』『外交官が見た「中国人の対日観」』など。

日本は、自分だけ「別格」で、世界との関係性やアジア各国との競争を「超越」したかのような意識があるようだ。自分では、グローバル化に過剰適応した”町のネズミ”のつもりでも、外からは、グローバル化に乗り遅れた”田舎のネズミ”に見えている。

――内向き指向を克服し、”裸の王様”から脱却すべきということか。どうしたらいいと思うか。

刺激的な表現は避けたいが、上述のイベントのように日本ビジネスの存在が小さいこと、それを誰もが知っていて日本が知らないことは、”裸の王様”とも言えるだろうか。それから抜け出す方法は簡単で、事実を知ることだ。裸だと気づいてすぐ服を着ればいい。よい服はたくさんある。足を使った営業は、元は日本の長所だった。ドバイのビジネスイベントで日本の小ささを見たら、どんな日本人も慢心や内向き指向は吹き飛ぶ。気づきさえすれば盛り返せる。気づかないとさらに沈む。

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