積極的に長時間労働したい人が見落とす盲点

バリバリ働いて成長したい若手の悩み

私自身、若い頃は「昭和」な長時間労働をする「モーレツ社員」でした。そのイメージもあって共感してもらえると思われるのか、こういった話を実はよく聞くのです。もちろん「長時間労働の職場から抜け出したい」といった話も聞きますが、組織でハイパフォーマーと言われている人から「もっと働きたい」という話を聞くことが多くて驚きます。振り返れば、長時間労働を撲滅しようという社会的な動きがまだ小さかった頃から、会社が労働環境を整えようと動き始めると、「働きたいだけ働いて何が悪いのか?」というテーマを後輩たちから投げかけられたものでした。

「人の倍のスピードで成長したい」

かつて、すごく仕事ができる後輩女性がいて、彼女と食事に行ったことがありました。何の気なしに「今、何年目だっけ?」と聞いたところ、「10年目です」との答え。でも私の記憶によると、5、6年目だったような……。「え? そんなベテランだったっけ?」と思わず問い直したら、「私、人の倍働いていますから、年次は倍づけでお答えすることにしているんです!」とにっこりされました。彼女の言葉から、「人の倍のスピードで成長したい」という信念を感じた私でしたが、当時の私にとっては衝撃的だったんでしょうね。お店の風景や彼女の姿まではっきり記憶に刻まれています。

それから何年か経って、今から12年くらい前だったと思いますが、前職のリクルートでも、多様な働き方を認め合う組織づくりの前提として、「長時間労働を是正しよう」「まずは総労働時間目標を決めて、組織で取り組もう」といった機運が高まったことがありました。私はダイバーシティプロジェクトのメンバーとして、それを提言したひとりでしたから、私のもとには、たくさんの「異論」「反論」が寄せられました。

「好きで働いていて誰にも迷惑をかけていない。誰かが短時間しか働けなくても決して責めていない。短く働くことを推奨するのは、ある意味、多様な働き方を認めないことにならないのか」というものや、「在籍期間を決めてリクルートに入社したのに、これでは成長が鈍化してしまう」というもの、「先輩たちだって偉い人だって、がむしゃらに働いて成果を出してきたじゃないか。自分たちだけにはその体験をさせないなんてずるい」というものまで、直接やメール、電話などで思いをぶつけられました。

一方で、「早く帰りやすくなってうれしい」「このような取り組みそのものに未来を感じる」という声もあったのですが、それは比較的ひっそり伝えられました。前者の反論を伝える人たちは、若手の中でも「できる」と言われている人たちだったこともあって、その影響力も大きく、私も心底「参ったなぁ」と思ったのをよく覚えています。

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