お見合いの申し込みをするのは、35歳くらいまでのお人形さんのようなルックスの美人ばかり。
「もう少し年齢の幅を広げましょうよ」
「子どもが欲しいですから」
「妊娠する年齢には個人差があるし、40を超えていても出産している人はいるわよ」
「それはわかりますけど」
「美人にばかりお申し込みをかけても、受けてもらうのは難しいよ」
「それもわかるんですけど、最初は自分が会ってみたい人にお申し込みをかけてもいいですか?」
こうして20件の申し込みをしたが、それらはひとつも受諾されなかった。その後、女性の年齢を40歳までに広げ、5つのお見合いを組むことができた。
お見合いをした中で、祐一がとても気に入ったのが、38歳の看護師。彼女と3回目の食事を終えた時に、祐一は言った。
「彼女とは結婚に向けて真剣交際に入ろうと思います」
「そう。じゃあ、その気持ちをお相手にも伝えましょう」
そう言っていた矢先、彼女から“お断り”が来た。本人は手応えを感じていただけにいたく落ち込んだ。
それから15人くらいの女性とお見合いをしただろうか。彼が“交際したい”と思った女性からは断られる。彼が“お断り”しようとする女性からは「交際希望」がくる。交際に入っても1、2度食事をすると「お断り」がくる。うまくいかないことが続いた。
「なんでうまくいかないんですかね。僕のどこが悪いんですか」
お見合いを始めてから半年が過ぎたころ、事務所に訪ねてきた祐一が言った。婚活疲れを起こしているのは表情からわかった。
選ぼうとすると、相手を減点法で見てしまう
「婚活って、“選ぼう”としているとうまくいかないのよ。選ぼうとしている時ってジャッジの目よね。ジャッジしようとすると、どうしてもお相手を減点法で見てしまう。お申し込みをかけてくれた女性で、“この人はピンとこない”と思っても積極的に会ってみたらいいんじゃない?」
こんな話をしてしばらくたったころ、祐一が申し込みをかけた36歳の女性と38歳の女性から受諾が来た。さらに、41歳の女性が祐一に申し込みをかけてきた。
36歳はかわいい系、38歳は美人系、41歳は地味で普通の容姿だった。3人の写真を並べたら、男性の9割が36歳のかわいこちゃんか38歳の美人を選ぶだろう。男性は、1歳でも若く、見た目のいい女性が好きだ。
お見合いの後3人と交際に入ったのだが、それぞれの女性と何度か食事やデートを重ねていた祐一が、ある時こんなメールを入れてきた。
「僕は、幸枝さんと真剣交際に入ろうと思います」
選んだのは、41歳の女性だった。
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