結婚するとは「運命共同体」を結成することだ 1人が楽な43歳男性が41歳女性に決めた理由

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「えっ、幸枝さんと?」。意外な選択に思わず聞き返してしまった。

41歳の幸枝さんを選んだワケ

祐一はなぜ、41歳の幸枝さんを選んだのか。理由は、こうだ。

お見合いでは、デート代を基本的に男性がすべて持つ。それが暗黙のルールだ。36歳のかわいこちゃんは最初のデートで食事をし終えた時、「あの、お勘定は?」と聞いてきたものの、「ここは大丈夫ですよ」と言うと、それっきり食事をしてもお茶をしてもいっさいお財布を開かず、「ごちそうさまでした」と言うようになった。

38歳の美人は食事を終えると、「おいくらですか?」と出そうとする。「ここは大丈夫です」と言うと、「じゃあ、次のお茶は私にご馳走させてください」と言って、お茶代を彼女が払ってくれるようになった。

41歳の幸枝は食事を終えて、「ここは大丈夫です」と言っても、必ず金額の半額に近い千円札を、「取ってください」と出してきた。

「ある時、幸枝さんに“会社が残業続きで、すごく疲れている”という話をしたんです。そしたら次のデートの時に、“このアロマオイルは、疲れにきくんですよ”と小瓶に入ったオイルを持ってきてくれた。それを僕の手に塗って、“こうやってハンドマッサージをすると、疲れが取れるんです”と、マッサージしてくれたんです」

それが本当に気持ちよかったし、やさしさにジンときたという。

「結婚って、楽しい時ばかりじゃない。うつ病になった母親を献身的に親父が介護している姿をみて、“これが夫婦なんだな”“結婚もいいもんだな”と思った。だから始めた婚活だったのに、結局見た目や年齢にこだわって相手を選んでいる自分がいた。どんな人と結婚したら、いちばん幸せになれるのか。ハンドマッサージしてくれている幸枝さんの姿をみた時に、“彼女なら僕をずっと大事にしてくれる。結婚するならこの人だ”と思ったんです」

さらに、祐一は穏やかな口調で続けた。

「その日、創作うどん懐石の店に行ったんですよ。小さな個室になっていて天井からオレンジ色の照明がひとつポッとついていた。家のリビングみたいな雰囲気ですごく落ち着けた。そこでうどんをすすっている彼女の姿を見たら、なんだか心があったかくなって。彼女と一緒にいたら癒されるし、ずっと楽しい時間が過ごせるんじゃないかと思ったんです」

アロマオイルで疲れている男性の手をハンドマッサージする。41歳の幸枝の、いわば作戦勝ちだったのかもしれない。

デートでおごられるのが当たり前、やさしくされるのが当たり前、「どうしてお見合い市場にいる男性は女性をうまくエスコートできないのか」「割り勘にするのか」「会話が続かないのか」――。そんなふうに、男性に駄目出しばかりしている美人たちに比べたら、結婚するために一生懸命に男性に尽くす、やさしさを惜しみなく与える、その幸枝の姿は、すばらしいではないか。

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