かつての「電線御三家」、なぜ今絶好調なのか 「作れば売れる」光ファイバーが牽引役に

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情報通信関連の投資が世界的に活発化しているのは、まずは中国向けだ。インフラ整備がまだ進んでいない東南アジアも同じだが、中国は市場規模が違う。さらに、米国を中心に北米市場も需要が拡大している。かつては通信会社がデータセンターを建設していたが、ここ数年はグーグルやアマゾンといったIT企業も自らデーターセンター建設、拡張して、さまざまなサービスを展開している。同じことは欧州でも起こっている。

古河電工のブラジル工場。昨年末にモロッコにも工場を新設した(写真:古河電気工業)

日本勢3社の研究開発や設備投資は活発化している。たとえば住友電工は、2016年度の情報通信関連の国内設備投資は228億円(前期比82%増)、研究開発費180億円(同6.5%)と自動車部門の伸び率を上回っている。

古河電工は国内の三重県、中国、ブラジル、ロシアなどに光ファイバーの生産拠点をもっているが、新たにアフリカ市場も狙ったモロッコ工場も建設、2016年末に稼働を始めた。

かつての失敗を生かせるか

ただ、光関連投資にはトラウマもある。古河電工は2001年7月に米国のルーセント・テクノロジーズから光ファイバー・ケーブル部門を買収、約2800億円もの資金を投じた。当時は光ファイバー生産で一気に世界シェア2位まで浮上した。しかし、タイミングが悪かった。米国を中心とする1990年代のITバブル末期、崩壊の時である。その後、2008年にはリーマンショックで世界的な金融不況が追い打ちをかけた。

「いまは世界的に需要が盛り上がっているが、未来永劫続くことはない。ここ2~3年か。確実に言えるのは、来年度まで作れば売れる状況が続くだろう。しかし、それ以降はわからない」というのが、業界関係者の見方だ。それだけに設備投資の大幅拡大には慎重論もある。

むしろ技術開発に力を入れて、つねに最先端の製品を供給すること、さらに光ファイバー・ケーブルから関連製品・装置、ソフトウエア、施工、保守メンテナンス・サービスまで一貫したソリューション・システム事業を拡充することが重要になる。かつての電線御三家は、どこまで変身を遂げることができるだろうか。

木村 秀哉 東洋経済 記者

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きむら ひでや / Hideya Kimura

『週刊東洋経済』副編集長、『山一証券破綻臨時増刊号』編集長、『月刊金融ビジネス』編集長、『業界地図』編集長、『生保・損保特集号』編集長。『週刊東洋経済』編集委員などを経て、現在、企業情報部編集委員

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