消費者は、“情報疲労"している なぜ、日本人はモノを買わないのか?【第1回】

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情報提供ということでは、今後はいかに消費者が判断しやすいものにするか、溢れる情報の中から信頼性の高いものとして選び取ってもらえるようにするか、フィルタリングや重みづけ・情報間の関連づけなどの構造化を行っていくことが重要になるだろう。

それでも最後は「自分で決めたい」

さらに注目すべきは、消費者は情報疲労しつつも、「もう自分で判断するのは面倒くさい。誰かに決めてほしい、選んでほしい」と思っているわけではないという点だ。

野村総合研究所が実施したアンケート調査からは、約8割の消費者が、「自分のことはすべて自分で決めたい」と回答している。ここに、溢れる情報を収集し処理するのは大変、消費に失敗するのも怖い、でも人に決めてもらうのは嫌、という消費者のジレンマがうかがえる。

まとめると、現代消費者は、多くの断片的な情報を「知って」はいても、それを統合・構造化することで「理解」できていない。そして、そのことに消費者自身、少なからずストレスを感じているが、それでも消費についての判断は自分自身で下したいと考えている。このことは、現在の消費者行動を理解する上で大変重要な心理的背景である。

次回は、このような心理的背景に着目した、マーケティング戦略のキーワードをご紹介する。(次回は8月初旬を予定しています)

濱谷 健史 野村総合研究所 副主任コンサルタント

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はまたに けんじ

野村総合研究所 経営コンサルティング部マーケティング戦略グループ副主任コンサルタント。2010年京都大学大学院情報学研究科数理工学専攻修了、同年野村総合研究所入社。専門はマーケティング戦略立案、需要予測、生活者の意識・価値観・行動分析など。寄稿論文に、「改めて見直すべき『スポーツの価値』―スポーツの活性化に向けて求められること―」(『NRIパブリックマネジメントレビュー』2012年11月号)がある。

 

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