消費者は、“情報疲労"している

なぜ、日本人はモノを買わないのか?【第1回】

情報や選択肢が多いと、購入自体をやめることも

選択肢の数が多いと、かえって消費から遠のいてしまうということは、バリー・シュワルツ著『なぜ選ぶたびに後悔するのか ~「選択の自由」の落とし穴~)』でも明らかになっている。

とある食料品店で、試食用として1つのテーブルに6種類の高級ジャムを並べ、もう1つのテーブルには24種類を並べて、買い物客に試食してもらった。結果、6種類を置いたテーブルでは、試食した人のうち実に30%が購入に至ったのに対して、24種類を置いたテーブルでは、試食した人のうち3%しか購入しなかったという。

もちろん、24種類を並べた方が、興味半分で試食する人が多い可能性はあるが、選択肢が多くなると購入に至る可能性が下がるのは非常に示唆的な結果である。まさに、これが“情報疲労”の状態である。人は常に合理的に判断できるという想定の下では、情報が多ければ多いほど、より良い選択ができるはずだが、実際には、情報が多すぎると、購入の意思決定を放棄する可能性が高まるのである。

では、情報を発信すればするほど、消費者に迷いが生じやすくなる、という皮肉な状況が起きている中で、情報の氾濫は今後収束するのだろうか。

われわれは、情報の氾濫は今後も止まることはないと予測する。リアル店舗でも、ネット店舗でも商品・サービスを販売している企業は、自分たちだけが情報発信をやめれば、競合に顧客が流れることを知っている。個別企業の視点に立てば、情報や選択肢を抑制することはできないのである。

さらに、スマートフォンが20代を中心に普及し、消費者からの情報発信も加速している。企業・消費者双方から、より多くの情報がもたらされ、消費者の情報疲労度合いはさらに増すと考えられる。

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