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なぜ味の素はアフリカ市場で強いのか? エジプトの食卓に革命を起こす男(下)

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  • 木村 聡 写真家、フォトジャーナリスト
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したたかな戦略。すべてのリスクは逆手に取れる

「商品が売れないことが、最大のリスクなんです」

カイロ最大の〝スラム〟で味の素を売り歩く宇治さんたち

そう宇治さんは言う。これまでリスクと喧伝されていたものの中にこそ、もっとも商品が売れる現場があった。アフリカのリスクは、彼らにとってチャンスでしかない。

エジプトは中東とアフリカを結ぶ拠点だ。将来的には国内にリパック工場などの建設も想定している。見据える先には、BOP市場の経済成長がある。そして、そこに連動した高付加価値商品への展開も視野に入っている。

かつての日本、アジアの国々がそうであったように、豊かになり金銭的な余裕ができれば、野菜と塩だけのスープに本当の肉を入れるようになる。そうなればだんだんとうま味調味料に頼らなくなるだろう。継ぐ二の矢は、風味調味料や新たな加工調味料の開発、販売だ。アフリカでのビジネスはさらに厚みが増していく。

再び、試合前に組む〝円陣〟のような朝礼。宇治社長が話す。

「我々が売っているのはハピネスです。食べた人が笑顔になる、味の素というブランドです。さあ、今日も売りましょう。インシャラー!」

貧困層に寄り添うような商品、そして、現地の人間と向き合って徹底して掘り起こすニーズ、地元に根付いた地道な販売手法。アフリカには必要とする有望市場があるが、それ以上にアフリカのBOPマーケットが味の素を求め始めている。

クーデターが起きても、庶民のエジプトでは商売が展開されている

過去最大規模の反政府デモが続いた日々も、待つ客のためにセールスマンたちはスークに出向いた。庶民の台所は相変わらず活気に満ち、驚くほど平穏。クーデターでモルシ大統領が退陣したその日、売り上げは過去最高を記録した。

この地で、味の素は強い。

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