「禁煙違反者30万円過料案」は当然の政策だ すでに50カ国近くで禁煙を法制化している
厚生労働省は3月1日、健康増進法改正案の原案を公開した。同案を巡っては、今年1月に厚生労働省が”飲食店内は原則として禁煙”という受動喫煙防止対策を盛り込んだ案を自民党の厚生労働部会に示した時にも大きな話題となったが、今回は延べ床面積「30平方メートル以下」のバーやスナックなど小規模な酒類提供の店舗を除く飲食店の禁煙と悪質な違反者に対する”30万円以下の過料”が明確に示されたことで、再び議論が盛り上がり始めている。
1月に同改正案について議論が盛り上がった際には「喫煙の自由と嫌煙家の争い」という側面があった。日本社会は他の先進国と比べると喫煙に対して(比較的……だが)寛容であり、努力義務だった喫煙に関する規制に罰則を設ける動きに慎重論も少なくない。
すでに50カ国近くで禁煙を法制化
しかし、グローバルに目を向ければ、すでに50カ国近くで公共の場および飲食店での禁煙を法制化している。さらにG20という枠組みでみると、バーやナイトクラブといった日本では”禁煙では営業が成り立たない”と想像されがちな場所も含め、ほとんどの国で禁煙、あるいは一部禁煙が法制化されている。中国・韓国・日本を除けばすべて法制化されている実態があり、「欧米では禁煙が当たり前」という言い方は決して大げさではない。
日本では長らく”分煙化”による受動喫煙対策が主流だったことも、禁煙の法制化が進んでいなかった理由と指摘されることもある。とはいえ、「日本は先進国の中では最も対策が遅れている」とWHOが指摘するのも無理からぬ状況であることは、欧米の都市部に足を運んだことがある人ならば肌で感じているのではないだろうか(もちろんラスベガスのような例外もある)。
同改正案によると飲食店への喫煙室新設は認められているが、その場合であっても、新基準の下で煙が漏れ出ないかなど審査したうえで、都道府県知事らが指定する手順を踏まなければならない。現実的には多くの場合、屋外への設置ということになるだろう。
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