公立小中学校の教員はブラック勤務が前提?! 週60時間以上働いても残業代は支払われず

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夏休み中の労働時間はどうか。平日1日の平均労働時間は、小学校で7時間44分、中学校で7時間57分だった。中学校の教員では、夏休み中の週休日1日の学校での労働時間は中央値で4時間となった。夏休み中は授業がないものの、教材研究・授業準備や提出物の処理、部活動指導、学校運営上の分担業務、資料や報告書の作成、研修・会議、PTA対応などの業務がある。

こうした状況を反映して教員の生活満足度が低いこともわかった。ほかの民間企業労働者と比べて、生活に「かなり満足している」「やや満足している」人の割合は低く、「やや不満である」「かなり不満である」人の割合は高い。研究委員会報告書の統計分析によると、小中学校双方で、長時間労働の教員であるほど相対的に生活満足度が低い結果になっているという。

 

「働き方改革」第2ラウンドでは対象になるか?

教員の長時間労働の原因としては業務が多すぎることが挙げられるが、現場の教員が本来的ではないと思う業務は何だろうか。最も比率の高かったのは、学校徴収金未納者への対応(小学校85.2%、中学校84.6%)、次に国や教育委員会からの調査・アンケート対応(小学校63.3%、中学校66.4%)、以下、地域との連携に関する業務(小学校57.2%、中学校55.9%)、児童・生徒、保護者アンケートの実施(小学校50.2%、中学校54.2%)などが続く。なお、部活動指導もこれらに続く上位に入っている(小学校42.2%、中学校43.3%)。

教員の長時間労働を是正するには、学校の役割や教員の職務の見直しから学校運営の効率化などまで幅広い対応が必要だ。現状では教員の労働時間を学校で管理・把握することすらあまり行われていない。今回、働き方改革実現会議での議論で対象外になったのは、労働基準法ではなく給特法に縛られている教員の特殊性ゆえであり、給特法の改正も必要になってくる。その際は、夏休みなどの長期休業期間を利用して、残業時間に応じ有給の代償的な休暇を付与するといった方法が提案されている。今年秋以降の働き方改革実現会議第2ラウンドでは、こうした教員の残業是正が対象になってくる可能性がある。

野村 明弘 東洋経済 解説部コラムニスト

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のむら あきひろ / Akihiro Nomura

編集局解説部長。日本経済や財政・年金・社会保障、金融政策を中心に担当。業界担当記者としては、通信・ITや自動車、金融などの担当を歴任。経済学や道徳哲学の勉強が好きで、イギリスのケンブリッジ経済学派を中心に古典を読みあさってきた。『週刊東洋経済』編集部時代には「行動経済学」「不確実性の経済学」「ピケティ完全理解」などの特集を執筆した。

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