公立小中学校の教員はブラック勤務が前提?! 週60時間以上働いても残業代は支払われず

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当時、超過勤務手当や休日給の不支給を決めた理由として、「教育が特に教員の自発性、創造性に基づく勤務であり、夏休みのように長期の学校休業期間がある」という教員の勤務の特殊性が挙げられた。また、給特法施行と同時期に、教員の勤務時間については割り振りを適正に行い、原則として時間外勤務を行わせず、「臨時または緊急にやむを得ない必要がある」場合に限って、時間外勤務を命ずるということとなった。しかしながら、教員の残業の実態は年々悪化を続けており、以下の研究委員会報告書のアンケート結果に見られるように、現在の状況は給特法施行時とはまるで違ったものとなっている。

では、ここから教員の実際の労働時間がどうなっているのか、見ていこう。まず平均出退勤時間。小学校教員が出勤7時31分、退勤19時04分、中学校教員が出勤7時25分、退勤19時37分だ。労働者全般の平均である出勤8時02分、退勤18時52分と比べると、教員の職場にいる時間が長いことがわかる。中学校教員では、運動部顧問の約15%が7時以前の出勤、約22%が21時以降の退勤となっている。

小中学校の教員は週60時間以上の勤務が大半

次に労働時間だが、ここでは驚くべき結果が出ている。小中学校とも週の労働時間が50時間未満の教員は存在せず、小学校で約73%、中学校で約87%が60時間以上となった。これはほかの全職種に比べて長時間労働であり、過重労働が指摘される勤務医と比べても60時間以上の比率が大幅に高い。週60時間労働は、月残業時間が80時間強の状態に相当する。先の給特法の教職調整額の実態を考えれば、教員の多くは月70時間以上のサービス残業を行っている計算になる。

週休日の労働時間も興味深い。週休日1日の学校内での労働時間は、中央値で小学校0分、中学校4時間だった。部活動の指導に充てられているとみられる。また週休日1日の自宅での労働時間は、同じく中央値で小学校1時間30分、中学校1時間。こちらは教材研究・授業準備や提出物・成績の処理などが主な業務内容となっている。給特法により休日給が支払われないことを考えれば、これらの労働も無給である。

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