英紙、有料会員が1年で13倍になった理由 ガーディアンのノーガード戦法とは?

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会員を募るメッセージの内容にも何度も修正・改善が加えられた。30の異なるメッセージを試した結果、20万人の会員数に達した。毎回メッセージの長さ、メッセージの内容、そしてサイト上の配置が変えられた。

初期に作られたメッセージのなかにはガーディアンの歴史に触れたものがある。「フォンハッキングからパナマ文書そしてピータールーの虐殺(1819年)に至るまで、私たちはそこにいた。速報を200年間伝え続けてきた。ガーディアンに寄付を」。

単発の寄付では平均的な量を集めたが、このメッセージは会員プログラムへ誘導するという点では成績は良くなかった。独自のオーナーシップ構造、独立性、そして質の高いジャーナリズムを生み出すことのコストという点にメッセージの焦点を移すと、会員登録の割合は一気に上昇したそうだ。

現在メッセージは英、米、豪ガーディアン紙上の記事の末尾に表示されている

大きなニュースで会員増

メッセージの配置場所についてもいくつか試した。記事の末尾、広告の位置、コンテンツ中でのリンク表示、広告ブロックをしている閲覧者へのポップアップ表示など、さまざまなものが試みられた。なかでも最後のポップアップ表示は特に効果的だったという。ソーシャルネットワークを使って会員登録や寄付を募ることもした。しかし、会員登録の割合が高かったのは、自分たちのサイト上やeメールによるニュースレター経由だった。

有料会員への登録数が増加した3つの時期があったという。ひとつはパナマ文書の調査、EU離脱に関する国民投票、そしてアメリカの大統領選挙だ。去年の夏にはアメリカとオーストラリアでも会員登録を促すメッセージを発信しはじめた。現在ではサイトを訪れる大部分のオーディエンスがメッセージを目にするようになっている。

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