ダメな上司は部下の目標設定がわかってない 防衛大で学んだ不可能を可能にさせる方法
私もある程度、成果が出てきたと思っていたのですが、M君だけ1度たりとも毎月の「目標予算」を達成することができません。リーダーになったときに「誰一人として絶対に見捨てない」と自分で覚悟を決めていました。現状把握と営業タスクの棚卸しのため1度、M君と面談をしました。
「最近どう?」
「いろいろ達成するための情報を集めているのですが、なかなか達成できないんですよ」
「なるほど。M君の年間の目標予算から逆算したとき、あといくら足りないのかな?」
「年間ですか? えっと年間の予算は……いくらかな……すみません……」
この会話の後、私は猛烈に反省しました。M君が年間の目標予算を把握していなかったのは、リーダーである私の発信力が弱かったからだと思ったためです。そして、情報集めという「インプット」に注力している現状も、私自身が部下たちの「アウトプット」の管理ができていないからだと思ったのです。
この会話の5分後に部下全員を集めました。そして、同じ質問をしたのですが、みな似たり寄ったりの答えです。そして、全員に共通していた点が、
「年間の目標予算を把握していない」「アウトプットよりインプットを優先させている」という2点でした。
まずは年間予算という「大枠」を部下全員に周知しました。年間目標予算は1年のゴールです。ゴールを知らずに走るマラソンほどきついものはありません。そして、ゴールから逆算して営業タスクを「小さく分解」し、「数値化」してアウトプットしやすくしました。
なんとなくの行動ではなく、すべて徹底的に数値化したのです。たとえば年間予算達成には取引先が300社必要、現状が150社だから、毎月30社ずつ増やす必要がある。そのためには、毎日開拓コールを200件……といった具合です。
そして、「1カ月でも予算を達成したら年間の予算は達成できる」と毎日発信し続け、営業活動を行いました。その後のM君は、1年目こそ年間予算に一歩手が届きませんでしたが、2年目からは毎年達成し、4年目には営業部長に就任しました。
理不尽の極みも継続できた理由
防大時代のありがたくない思い出ナンバー1。それは「食いしばき」です。身長から体重を引いた数字が100を切っていない学生は体に栄養がいきわたっていない、というなんだかわけのわからない理論の下、ひたすら食わされます。
私の入校当時の身長は171センチメートル、体重は55キログラム。171−55=116。したがって16キログラム太るための「食いしばき活動」が入校してすぐに始まりました。平日は食事をする暇もありませんので、この活動は土日を中心に行われます。
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