今週金、いよいよ動くプレミアムフライデー 太っ腹・ソフトバンクは「支援金」毎月1万円!
[東京 21日 ロイター] - 消費拡大に向けた新たな官民キャンペーンとして、経済産業省と経団連、業界団体などが協力して進める「プレミアムフライデー」が24日に始まる。月末の金曜日は早めに退社することで、「働き方改革」を実施するとともに、遊びや買い物などにもっと時間やおカネを使ってもらおうという狙い。一部企業では、午後3時の退社促進や奨励金支給など新たな対応を取る動きも出始めた。
サントリーホールディングス[SUNTH.UL]はプレミアムフライデーが始まるタイミングを狙って、主力商品である「ザ・プレミアム・モルツ」の拡販イベントを仕掛ける。同時に、自社の働き方改革を加速する機会としても活用し、毎月最終金曜日にグループ国内の社員約5000人を対象に「午後3時の退社」を推奨する。
ソフトバンクグループ <9984.T>も趣旨に賛同し、午後3時の退社を実施する。宮内謙社長は21日、都内で開かれたプレミアムフライデーのキックオフイベントで「金曜日は(会議を)ばさっと切る」と述べた。同社は働き方改革に伴い、全正社員1万8000人に毎月1万円の支援金を給付する。
住友商事 <8053.T>では「プレミアムフライデー」に限らず、毎週金曜日を有給取得推奨日とする。有給休暇取得が難しい場合でも、フレックスタイムを使って、午後3時の退社を促すという。同社は、2017年の有給休暇取得目標を各社員最低14日以上、全社平均16日以上と設定しており、「プレミアムフライデー」もこうした目標達成の道具のひとつとしたい考え。
プレミアムフライデー推進協議会によると、公式ロゴマークの使用申請企業・団体は20日時点で3000件にのぼった。百貨店をはじめとする小売業だけでなく、旅行業界は金曜日夕方出発のツアーなどの販売を始めている。また、外食では、特別なコース料理を準備するなど、提供側は何とか「イベント消費」につなげようと、様々な仕掛けを打ち出している。
「プレミアムフライデー」に同調しない企業でも、独自に「働き方改革」に取り組んできた例もある。早くから改革を推進してきた味の素 <2802.T>は、17日に発表した中期計画のなかで、年間平均労働時間の短縮を盛り込んだ。会議のあり方の見直しやテレワークを活用し、2016年見込みの1900時間から2020年度までに1800時間に引き下げる。
キャンペーン効果、なお未知数
ただ、キャンペーンの盛り上がりがどこまで広がるかは未知数だ。積極的に賛同している企業がある一方で、カルチュア・コンビニエンス・クラブが1603人を対象にインターネットで調査したところによると、自社の職場がプレミアムフライデーを導入すると答えた人は3.4%に過ぎなかったという。
SMBC日興証券では、労働時間減少によるGDP押し下げ効果と、生産性上昇や消費増に伴うGDP押し上げ効果があると指摘。このうち、消費拡大効果だけを見ると、年間で最大635億円程度とみている。同社は、プレミアムフライデーの恩恵を受けるのは、全就業者数のうち最大でも6.5%程度と試算する。
早い時間で退社しても、消費に結び付くとは限らないほか、非正規雇用では、労働時間の短縮が収入減に直結するという課題もある。サントリーホールディングスの相場康則副社長はキックオフイベントで「間違いなく消費は増える」と期待感を示したが、消費するには時間とお金の両方が必要だ。
ソフトバンクの宮内社長は「支援金で勉強するもよし、お酒を飲むのもよし。消費拡大につなげてもらいたい」と語ったが、働き方改革を金銭面でサポートする企業はまだ少数派だ。制度として広がりを見せるかどうかは、しばらく時間が必要となりそうだ。
(清水律子 取材協力:志田義寧)
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