豊中「神道小学校」は設立経緯が不透明すぎる 「安倍晋三記念小学校」という名前で寄付集め
当初の有償貸付契約では、売買予約完結権を10年後に行使するとすれば、森友学園は賃料を総額2億7300万円支払い、さらに土地を取得するために土地の代金(更地として評価額)を支払わなくてはならなかった。それと比べればだんとつに「格安」に購入できたといえるだろう。
土地取得以外にも、森友学園への「優遇」が疑われる点がある。
たとえば小学校設置認可の際の手続きだ。大阪府下の小学校の設置は大阪府が権限を持ち、私立学校審議会で審議されるのだが、大阪府私立学校審議会は2014年12月18日の定例会で「申請内容等において確認すべき点があるため、継続案件とする。臨時の審議会で審議する」と議論を繰り延べている。そして翌2015年1月27日に開かれた臨時会で再度審議した後に以下のような条件を付けたうえで答申を出した。
・申請者には財務・会計状況やカリキュラム、または校舎建設など小学校設置までのプロセスをさらに明らかにしていただくとともに、今後の本審議会において、その内容を事務局から必ず報告をいただくこと。
・カリキュラムについては小学校の学びが充実されるようさらに内容を詰めていただきたい。
・私立学校には特色ある教育が求められる側面があるが、懸念のある点については本審議会が今後も確認を進めるべき。
要するに「経営基盤が足りず、カリキュラム内容が不十分。極端に特徴のある教育をするな」と読みとれる。
安倍晋三記念小学校?
確かに森友学園は園児に教育勅語を暗唱させるという特徴ある教育で有名だ。そしてちょうどこの頃、父兄に対して小学校建設の寄付を募っていたが、振り込み用紙には小学校の名前を「安倍晋三記念小学校」と明記していたことが発覚している。さらにいえば小学校の名誉校長として、安倍昭恵夫人が就任している。
これについて週刊文春2月23日号は、「野党時代に(学校名使用の)内諾をいただいたが、総理になってそれはできないと辞退された」との森友学園理事長の発言を掲載したが、安倍首相は2月17日の衆院予算委員会で内諾したことすらも否定した。さらにこの件とは無関係であるということを何度も強調し、「小学校に通う子どもたちもいるのだから、慎重にやってもらいたい」と訴えた。
確かに最も重視すべきは子どもたちの利益に違いない。しかし、実際には軽視されていた。
民進党が開いた国対ヒアリングで、財務省は非公開の理由を「地下埋蔵物の存在が周知されると、小学校に入学する保護者等への風評リスクが懸念されるので、契約金額を公開しないように森友学園が要請してきた」ことを認めた。参加していた辻元清美衆院議員などから、「それはおかしい。そうした事実こそ、保護者が開示を求めているものではないか」との批判の声が出ている。
そもそも当該土地の売買価格が不開示であったことから、この問題が発覚している点も皮肉である。果たして掘り出された埋蔵物のように、真実は明らかになったのだろうか。それとも地中深くに、まだ眠っているのだろうか。
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