豪雨災害で6年不通「只見線」復活への道のり

上下分離、地元一部負担での復旧方針決定

JR只見線は福島県の会津若松と新潟県の小出を結ぶ路線。営業キロは135.2キロメートルある。県境部分の只見〜大白川間が開業し全通したのは1971年と、比較的新しい。

流失してしまった第6只見川橋梁(筆者撮影)

「2011年7月新潟・福島豪雨」は7月27〜30日に只見線を襲った。もっとも大きな被害を受けたのが会津川口〜只見間で、只見川に架かる第5、第6、第7只見川橋梁が流失。第8只見川橋梁付近では、盛土の崩壊、路盤の沈下などが起こった。このため同区間は現在もマイクロバスによる代行輸送が続いている。

JR東日本の発表によると、只見線の2015年度の1日平均の通過人員は321人で、同社の在来線66線区のうち64位。バス代行区間に限ると35人に留まる。年間の旅客運輸収入は1億4800万円(2015年度)。会津盆地を走る会津若松〜会津坂下間は高校生を中心に利用が多いが、それ以外の区間は豪雪地帯でもあり、数往復の普通列車がわずかな利用者を運ぶという、典型的な過疎路線の一つである。

こうした背景からJR東日本は不通区間の復旧、運転再開には消極的であった。橋梁の架け替えなどの復旧費用は、回収が極めて困難な投資となってしまうことが明らかだからだ。

復旧費用は81億円に圧縮

民営鉄道の場合、現行の鉄道軌道整備法に基づけば、災害からの復旧費用は原則、鉄道会社の全額負担。赤字会社であるなど一定の要件を満たした場合のみ、国や地方自治体からの補助が1/2まで認められる。JR東日本はもちろん黒字会社。上場企業でもあるため、多くの株主、投資家への説明も必要となろう。

当初、復旧費用は約108億円と見積もられていた。だが、2016年11月27日に開かれた第5回只見線復興推進会議検討会により、工事内容を一部変更することにより約81億円に圧縮できることが確認された。

しかし、巨額であることには違いない。地元自治体が鉄道復旧を決定した場合、JR東日本はその費用の1/3、約27億円を負担するとしたが、要するに残り2/3、約54億円は何らかの公的負担が求められた。

これに対しては「只見線復旧復興基金」の約21億円がまず充てられるが、なお約33億円が不足する。それも福島県が「相当の覚悟を持って取り組む」とし、負担する方向である。

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