「口の中からわかる」がんや心筋梗塞の予兆 体に起きていることは、ここに現れる
最後に、見た目以外に大病の予兆がわかるポイントをご紹介しましょう。それは「におい」です。世界で初めて、がん患者特有のにおいを犬が嗅ぎ分けられる可能性が発表されたのが1989年のことです。それ以降さまざまな実験が重ねられ、米国では2006年に、訓練された犬が肺がんなら99%、乳がんも88%特定したと発表されました。
犬の嗅覚は、人間の100万倍から1億倍も鋭いといわれていますが、私は人間でもある程度はにおいで、がんがあるかわかると思っています。なぜならがん細胞には特有の代謝があるため、そこで発生する揮発性の物質が、がん患者さんの吐く息の中に存在するのではないかといわれているからです。
こんなにおいがしたら注意
そして私も、患者さんの口のにおいを数千例嗅いでいるうちに、ある一定の傾向に気づきました。
ドブや下水道のようなにおいを感じるときは、アレルギー性鼻炎の予兆です。炎症ができた部位で免疫機構が働き、細菌類と戦いを終えた免疫細胞は代謝産物を残します。これが特有の臭気を発するのです。
たくあんのような発酵したもののにおいが感じられたら、乳がんの危険性が高いでしょう。タマネギが腐ったにおいのときは大腸がん、そして肉が腐ったにおいなら呼吸器系のがんがあると考えられます。実際に口臭の成分を分析すると、におい成分が腸内環境や血液の状態、体内で起きている炎症や水分代謝の具合と密接に関係していることがわかりました。
がんや心筋梗塞、脳梗塞などは、かかってしまってからでは手遅れになることも多い大病です。拙著に紹介したような病気の兆候を知っていただき、ご自身の大病を遠ざけ、家族や大切な人の健康維持に役立てていただければ幸いです。
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