トランプ大統領の暴走を止める「日本の秘策」 「日米新経済協議」の肝は「ババ抜き」にある?

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ところが日本政府は、面白い案を提示するらしい。2月9日の日本経済新聞朝刊が報じている「新経済協議、米に提案へ」である 。日本側は麻生太郎副総理、アメリカ側はマイク・ペンス副大統領をトップとする新しい枠組みを作り、通商問題と経済協力をそこで一緒に話し合いましょう、というのである。

安倍首相とトランプ大統領のツートップが差しで話をすると、どんな無茶を言われるかわかったものではない。だからお二人はゴルフでもやっててください。仕事は閣僚レベルでやりますから。これなら穏当な線でまとめることができる。

ペンス副大統領は、つい先日までインディアナ州知事であった。インディアナ州と言えば、知る人ぞ知る日本の自動車産業の集積地。試しに「インディアナ州政府日本事務所」のホームページをご覧あれ 。今でもペンス知事が、「親愛なる日本の皆様へ」というメッセージを日本語で寄せているではないか 。そして同州に進出している日本企業は、アイシン精機(A)からヤマト運輸(Y)まで、まことに膨大な数なのである 。

これがあるからこそ、中西部の「ラストベルト」にありながら、インディアナ州は「全米においてこれほど製造業が集中している州はありません」(ペンス知事、当時)と胸を張って言える状況なのだ。つまり日本企業の貢献度をよく知る人が、アメリカ連邦政府のナンバーツーに居てくれる。ひょっとすると、2月3日に安倍首相がトヨタ自動車の豊田章男社長と会談した際に、「この手がありますよ」と耳打ちされたのかもしれない。

これぞ本当の「ババ抜き」? 

ところでこの新経済協議、オバマ政権下で定着していた「米中戦略・経済対話」と似ている。米中双方の外交と財政の担当閣僚同士が、年に1回、相互に行き来しながら実施していた。「機能していない」などと批判もされたが、米中が決定的に対立しない歯止めを果たしていたと思う。

あの米中対話のキモは、米中双方のトップを入れないことにあった。入れてしまうと、互いに引くに引けなくなってしまう。特に中国側はトップのメンツが重過ぎる。だからこそ、閣僚同士のダイアローグに意味があった。

今回の日米間の新経済協議は、もちろんうまくいくかどうかは分からない。だが成功するようなら、世界各国から「アメリカ相手に、あの手は使えるぞ!」と注目されることだろう。「トランプ外しの新定跡」だが、これって要するに「ババ抜き」ってことかなあ。

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