伝説の弁護士、日米会談の行方を大胆予測 防相会談成功も後押し、大成功は間違いない

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フリン氏はオバマ政権時代、2012~2014年に国防情報局長を務めた。陸軍中将のキャリアを生かし、イラクやシリアの軍事情勢とテロ対策に精通している。フリン氏なりにシリアの混乱やISISの台頭を危惧し、政権内では最高司令官のオバマ大統領にも何かと耳の痛い進言もあえてしていた。その主張が受け入れられなかっただけでなく、感情的なもつれもあって、ついにクビになった。

その後、シリアの混乱、ISISの猛威など中東情勢の悪化はフリン氏のほぼ危惧したとおりになった。クビにされたあとフリン氏は「クビを切られた者より、クビを切った連中のほうが不快な思いをしただろう」と語っていたという。

そんな経緯を熟知し激怒していたトランプ氏は、選挙中からオバマ政権の中東戦略の失敗を言い続けていた。クビになったフリン氏のリベンジ(復讐)の代弁でもあったが、いまやトランプ大統領自身のリベンジともなった。安全保障上の大敵をISISと位置づけるトランプ大統領を駆り立てている思いとは、米国への愛国心そのものなのだが、結果的には、オバマ前大統領へのリベンジと重なる。

現大統領と前大統領とが外交政策をめぐって衝突することなど前代未聞である。米国の外交は通常「同一性の維持」が大原則となっている。トランプ政権はその大原則を真っ向からひっくり返そうとしている。

もともとトランプ大統領の「米国第一」の最大のテーマは経済だった。いまや国防が最前列に躍り出そうとしている。トランプ政権によるISIS掃討、新たなイラン制裁は、「テロ戦争」に勝利するための米国国家安全保障戦略の最重要テーマであり、それを指揮するトランプ大統領はペンタゴンを叱咤激励する最強の大統領を目ざす「新生トランプ」として大きく浮上してきた。それは「オバマつぶし」にもなる。フリン補佐官はその戦いの生き証人という筋書きだ。

トランプ大統領は日本を頼りにしている

そんなトランプ大統領の「死闘」について日本はどう対応すればいいのか。その戦いはあくまでもトランプ大統領自身の戦いであり、日本には直接関係ない。そうクールに割り切って、その「負のエネルギー」が日本に向かわないように注意しなければならない。

むしろトランプ大統領は日本を頼りにしていることを理解しておくべきだろう。その意味では、今回、海外首脳のなかで唯一の「友人」とも言うべき安倍首相との会談は、トランプ大統領にとって心休まるひとときになるかもしれない。その信頼に応えるような協力関係の維持、強化を約束するチャンスであり、それができれば上出来だ。

湯浅 卓 米国弁護士

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ゆあさ たかし / Takashi Yuasa

米国弁護士(ニューヨーク州、ワシントンD.C.)の資格を持つ。東大法学部卒業後、UCLA、コロンビア、ハーバードの各ロースクールに学ぶ。ロックフェラーセンターの三菱地所への売却案件(1989年)では、ロックフェラーグループのアドバイザーの中軸として活躍した。映画評論家、学術分野での寄付普及などでも活躍。桃山学院大学客員教授。

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