ヤフオクがフリマへ「ついに本格参入」の真意 ユーザーの高齢化を食い止める武器になるか

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一方、国内EC大手の楽天も、フリマアプリの分野では自社開発の「ラクマ」を育成しているのに加え、2016年9月にはファッション関連に強い「フリル」を買収。異なる特徴を持つ2つのアプリで、圧倒的トップのメルカリを追っている。

これだけ盛り上がりを見せる分野だけに、CtoC(個人間取引)市場の古株であるヤフーも無視はできない。ヤフオクはフリマアプリと比較され、その使いにくさを指摘される場面も少なくなかった。「手軽に出品、売買したいというニーズが高まっているのは明らか」と、同社ヤフオク! カンパニーの一条裕仁・ヤフオク! ユニットマネージャーは語る。

実際、ワンプライス出品の実験を始めて以来、「新規を含め出品者数が順調に積み上がったうえ、従来に比べて20代以下の若年層の比重が非常に高まった」(同社ヤフオク! カンパニー・開発本部の林啓太氏)。大々的な告知をせずともユーザーが集まったことには、社内でも驚きの声が上がったという。

有料会員になるユーザーも増えた!

右下にあるボタンで「フリマモード」をONにすると、即決で買える商品が一覧表示される(写真:ヤフオクのスマホアプリ画面)

もうひとつ判明したヤフーにとっての利点は、無料で行えるワンプライス出品からヤフオクを使い始めたユーザーが、有料のプレミアム会員に登録し、オークション出品の機能まで使い始めるという例が出ていることだ。

「価値をわかってくれる人が集まって、そこで相場価格を決めてくれる。オークションには手軽に売買することとは違った、“中毒性”ともいえる面白みがある」と、一条氏は力を込める。そういったオークションへの送客効果も期待し、今回はヤフーとしてフリマに特化した別サービスを立ち上げるのではなく、ヤフオク内の追加機能としてフリマを展開する道を選んだ。

もっとも、ヤフオク内には以前から、オークション出品の際に「即決価格」を設定できる機能があった(オークション終了までに即決価格以上の入札がない場合は、終了時点の最高額入札者がその価格で落札)。ワンプライス出品と合わせると、即時に購入できる出品はすでに全体の過半数を占めている。

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