大東建託、「受注高23%減」でも超強気の理由 賃貸アパートブームは続く?それとも失速?

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ただ気になることもある。金融庁が地方銀行を中心として、急増しているアパートローンの実態調査に乗り出しているということだ。

日本銀行によれば、2016年9月末の国内銀行のアパートローン残高は前年比5%弱増の22兆円に達し、過去最高だった2015年末の21兆円をさらに上回っている。日銀が公表したさくらレポートには「相対的に魅力の乏しい物件を中心に、空室率の上昇や家賃の下落がみられる」と、バブルの再燃を懸念する文字がみられるようになった。

そうした中、今回の決算発表で市場関係者が一様に注目したのは、同社の10~12月の受注高が急減していたことだった。日銀のバブルの懸念と歩を合わせるかのように、前年同期比で23%も減少した。

ただ、会社側はここでも強気の姿勢を崩さない。失速の原因について、川合常務は「飛び込み営業の力が低下したため」という。一聞しただけではよく意味がわからないが、からくりはこうだ。

午前中の2時間は新規開拓に集中

現在、建設工事の受注は、2016年4~12月期で6割強がリピート客で占められる。営業員がリピート客を中心に営業をするという易きに流れた結果、新規顧客の開拓がおろそかになっているというのだ。

そこで2016年10月から社長の陣頭指揮の下、営業力強化に乗り出した。営業員は毎日、午前中の2時間は新規開拓だけに集中する。ただ、飛び込み営業で新規客を増やすには時間がかかる。10~12月は新規顧客開拓に力を注いできた結果、受注が失速したようにみえる、というわけだ。

川合常務は「わが社は社長の号令一下で一挙に動く社風を持つ。社長がやると言ったら、みな動く。2017年度内にも新規顧客受注件数を5割にもっていけると思う」と、失速は一時的な現象で終わるとする。

受注工事残高は昨年12月末で前年同期比5.4%増の8730億円と潤沢にあり、しばらくはこれを消化するだけで増益は可能。問題はこの1~3月期の受注が本当に回復するのかだ。賃貸アパートブームの今後を占う意味でも、重要なポイントとなりそうだ。
 

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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