欧州GPSウォッチの雄は日本市場で勝てるか オランダ「トムトム」の創業者が戦略を明かす

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――地図情報で世界トップを争う大手であることは、GPSウォッチのビジネスにも役立ちますか。

現在のランニングやトレイル用の時計には、自分のコースをたどれる程度の情報を入れられますが、まだ「地図」と呼べるほどの情報量を入れられるようにはなっていません。最終的には完全な地図を時計にダウンロードできるようにしたい。

スポーツ用だが、デザインはファッショナブルさを失わないようにしているという(撮影:風間 仁一郎)

たとえば、東京に旅行でやってきて、「走りたい」と思ったときにトムトムのサイトにアクセスして、時計に地図をダウンロードできるようにするといった技術を実現しようと思っています。そういう構想においても、われわれの培ってきた地図情報の技術やデータは大きな財産になるのです。

ランナーのイベントに参加し、知名度を高めたい

――欧州では知名度が高くても、日本ではトムトムという名前は一般的にあまり知られていません。日本でもっと知られるためのプロモーションが必要だと思いますが、どのような手段を考えていますか。

欧州では最近、テレビCMを放映しました。日本でもテレビCMを行うかは検討中です。少なくとも今、行うつもりでいるのは、ランナーのイベントに参加して、われわれのブランドや製品に親しんでもらう形の販促活動です。

――トムトムの個人向けビジネスでは、アクションカメラも展開しています。以前は、GPSウォッチと同様に日本でも販売する考えを表明していました。こちらはどうなったのでしょうか。

アクションカメラに関しては、日本市場は競合が多く、環境が厳しいと判断したので参入を取りやめました。GPSウォッチに力を注ぐ方針です。

――トムトムという社名はユニークな響きだと感じます。由来は?

1991年に携帯型ナビゲーション装置のソフトを開発する会社として、スタートしました。もともとは「パームトップ・ソフトウェア」という社名でしたが、国際的な企業にはそぐわないと思ったので、2001年に今の社名に改めました。技術的な堅い響きの社名ではなく、覚えやすくて、世界のどの国でも通用する名前にしたのです。アフリカの「トムトム」と呼ばれる太鼓の音には、道を教えて人を導く、という役割があるそうです。われわれはナビゲーションを手掛ける会社ですし、親しみやすさもある響きなので、今の社名にしました。

山田 泰弘 東洋経済 記者

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やまだ やすひろ / Yasuhiro Yamada

新聞社の支局と経済、文化、社会部勤務を経て、2014年に東洋経済新報社入社。IT・Web関連業界を担当後、2016年10月に東洋経済オンライン編集部、2017年10月から会社四季報オンライン編集部。デジタル時代におけるメディアの変容と今後のあり方に関心がある。アメリカ文学、ブラジル音楽などを愛好

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