「福田内閣でも改革が続くと考える理由」リチャード・カッツ

「福田内閣でも改革が続くと考える理由」リチャード・カッツ

日本の経済改革はしばらく“お休み”になるかもしれない。海外のマスコミや投資家は、福田康夫氏の首相選出をそんなふうに見ている。9月半ばにハーバード大学経営大学院主催で開かれた日米金融問題に関する会議で、アメリカ側の出席者50人のうち3分の1は、日本の改革は蝸牛の歩みになると予想していた。

 そう懸念する根拠は確かにある。ただ、そうした見方は日本で起こっているさまざまな傾向をやや単純化しすぎているきらいがある。ちょうどコップの半分が水で満たされているようなものだ。この状態を「もう半分」と見るか、「まだ半分」と見るかによって評価が分かれてくる。

 悲観論者にとって、改革が遅延する論拠はあちこちに存在する。彼らは、小泉改革に反対する地方の有権者の反乱によって、自民党が参議院選挙で壊滅的な敗北を喫したと理解している。その点からすれば、地方の有権者は福田政権に小泉改革の針を逆に戻し、地方の公共事業を増やし、輸入自由化をもたらす自由貿易協定を回避するように圧力をかけることになる。自民党も来るべき衆議院選挙で地方の有権者の支持を取り戻すことを願っている。

 しかし、そうした改革逆戻りの戦略は、自民党の他の支持基盤にダメージを与えることになる。都市の有権者の怒りを考慮すれば、小泉改革以前のように公共事業がGDPの7・5%(現在は3・8%)を占めた時代に戻すことはできないだろう。自由貿易協定についても韓国が日本にとって重要な国と自由貿易協定を締結しており、日本企業もこれを座視することはできないはずだ。

 福田首相は個人的には改革を支持している。しかし、福田首相の情熱をかき立てるのは安倍前首相と同様に外交政策である。実際、経済政策に関しては、福田首相は「まだ各派閥の代表と議論していない」とテレビのインタビューで答えている。消費税引き上げについても明確な回答を拒むなど、まだ明確な経済政策を明らかにしていない。

 このままでは小泉流の“トップダウン型改革”は、腰砕けになりそうだ。そうなると、伝統的な既得権集団が頭をもたげてくるだろう。すでにその兆候が見られる。政府は破綻した足利銀行売却の入札を行っており、入札企業7社のうち3社は海外の投資家である。しかし、金融庁は9月21日に外国の投資家をすべて入札から除外する決定を行っている。その理由は、報道されているところでは、足利銀行の所在地の栃木県選出の政治家の圧力があったからだといわれる。ただ、こうした後ろ向きの傾向は、全体の改革の一部を語っているにすぎない。

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