リコーは、今なぜ異例の社長交代を行うのか 「明るくて生意気」な新社長が直面する課題

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近藤史郎会長は、代表権のない会長になる(撮影:梅谷秀司)

かつて複合機などの事務機器は、トナーや紙などの消耗品で稼ぐビジネスモデルを展開してきた。オフィスに機器を設置してもらえれば、継続的かつ安定的に収入が見込める。しかし最近ではペーパーレス化や単価の下落が進展。そこで各社とも顧客がクラウド対応などのITサービスに注力している。またラベルや布など、紙以外のモノに印刷する産業印刷にも活路を求めている。

とはいえ、事務機器メーカーが基本的に同じ戦略を取る中で競争は厳しい。「野武士のリコー」と呼ばれ、営業力を武器にシェアを伸ばしてきたリコーだが、事務機器で2兆円近く売り上げる中で、既存事業の落ち込みを新規分野の伸びでカバーするのは容易ではない。

こうした状況で、これからどうリコーを建て直すのか。山下氏は現在のリコーの一番の問題点を「意思決定のスピードの遅さ」とし、「これまでの上意下達的な方針展開から、お客様に近いところに必要な意思決定の機能を置く」と話した。

コスト削減で銀座本社から移転

山下氏が取りまとめた中期経営計画では2017年度から3年間で1000億円のコスト削減を目指している。その象徴ともいえるのが2017年度中に予定している本社の移転だ。現在借りている銀座本社から出て、自社ビルである大森に本社を移す。

その他にも自前主義だった製品を見直し、製品製造を委託するOEMの活用や2拠点での生産終了などが予定されている。「規模重視から収益力強化への転換、そしてその収益を産業印刷などの新規事業へ振り分ける」と山下氏は説明する。

リコーを含む日経平均株価がリーマンショックを克服して2万円の高値を伺おうとする中、同社の株価はリーマン前高値2950円(2007年6月)を大きく下回る1000円前後で低迷したままだ。はたしてこれまでの輝きを取り戻すことができるか、次期社長の手腕が問われている。

遠山 綾乃 東洋経済 記者

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とおやま あやの / Ayano Toyama

東京外国語大学フランス語専攻卒。在学中に仏ボルドー政治学院へ留学。精密機器、電子部品、医療機器、コンビニ、外食業界を経て、ベアリングなど機械業界を担当。趣味はミュージカル観劇。

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